子どもの気持ちを探れ! コドモ博士の哲学トーク 第13回

「すぐに『ごめんなさい』って言えないワケ」

「ごめんなさい」が言えない我が子に、不安や苛立ちを感じていませんか? 我が家の5歳の長男もまだまだ言えません。大人相手には代わりに私が謝り、「『ごめんなさい』が言えるまでにもう少し時間がかかるんです」と言うようにしています。子どもからしたら、すぐに「ごめんなさい」なんて言えないようです。

子どもの気持ちを探れ! コドモ博士の哲学トーク 第13回「すぐに『ごめんなさい』って言えないワケ」

 

「ボクが悪いことをする」という偏見

Kママ

ママ:こらっ、弟を叩いちゃダメでしょ! 謝りなさい!

K

K:…

Kママ

ママ:叩くのはいけないことだよね? 悪いことをしたのに「ごめんなさい」が言えないの?

K

K:言いたくない!!

Kママ

ママ:何でよ、ちゃんと謝りなさい!

K

K:だって、弟がボクのこと叩いたからボクだって叩いたんだよ。

Kママ

ママ:そうだったの…気が付かなかったわ。でも、叩かれたからって叩くのは良くないよ。

K

K:ママは「いつもボクが悪いことをする」って思ってるから、理由も聞かずにすぐボクに謝れって言うんだ!

Kママ

ママ:そんなこと…あるかも。ごめんなさい。

謝ってスッキリするのはママだけ

K

K:ママはいつもボクに「謝りなさい」って言う。ボクが「ごめんなさい」って言うと、ママは納得して終わるでしょ。でもボクの心の中はもっとモヤモヤして、イヤな気持ちになって、弟のことも大嫌いになるんだ。

Kママ

ママ:だって、悪いことをしたら謝るのが普通でしょ? 相手に悪いなって思うでしょう? 「ありがとう」と「ごめんなさい」は大切なのよ。

K

K:それは大人の考えだね。ボクにはボクなりの事情や考えがあるんだから、すぐ謝ったとしても「上辺だけのごめんなさい」になるよ。でもママは「ごめんなさいが言える子で良かった」って安心する。ねぇママ、悪いって思わなくても、ボクは謝っておけばいいの?

Kママ

ママ:そうじゃないわ。「悪いことをした」って、相手の気持ちを考えられることが1番大切なのよ。

「中身のあるごめんなさい」が言えるようになるまで

K

K:「自分が悪いことした」と思えるようになるまでに時間ってかからない? ママとパパだって喧嘩をした直後は口を聞かないで、しばらくしてから普通に戻るじゃない。

Kママ

ママ:そうねぇ、たしかに。ママにはママの考えがあって、パパにはパパの考えがあって、お互い自分が正しいと思ってするのが喧嘩だからね。相手の気持ちや価値観にまで気が回るようになるには、時間がかかるわ。

K

K:子どもはもっともっと時間がかかるんだよ。赤ちゃんのときの成長を思い出してほしい。赤ちゃんは生後3ヶ月頃で「自分」を認識し始める。人の気持ちがわかるようになるのは、ほぼ4歳くらい[※]。生まれてから、4年もかかるんだよ?

もちろん、すぐに全部はわからない。親や兄弟、お友達や先生との膨大なコミュニケーションが必要だ。誰かを傷つけたり、自分も傷つけられたり、許されたり、許したり…そういった経験を繰り返してはじめて「悪いことしちゃったな」って思えるんだ。

Kママ

ママ:なるほど、それじゃあ5歳ではまだ経験が足りないわねぇ。

K

K:そうなんだ。それにさ、相手の気持ちを考える前に、まずは「自分の気持ち」だってわからないこともあるんだよ。何となくモヤモヤイライラするけど、それが怒りか、嫉妬か、悔しさか…自分の気持ちを把握することも、子どもにとってはカンタンじゃないよ。相手の気持ちまで考えられないよ。

Kママ

ママ:ママは表面しか見てなかったね。Kが謝れる子だったらママは安心だし、謝れないと特に他のママの前だと体裁が悪くなっちゃって…。そんなことばっかり気にしててごめんなさい。

K

K:ママ、「ごめんなさい」が上手だね! いつかボクも、ママみたいに上手にその場で「ごめんなさい」が言えるようになるかなぁ。

 

※出典『0歳からの宝探し 脳を活かす子育て術』著者茂木健一郎、須藤珠水 PHP社