結婚生活10年以上! 「独身時代と同じテンションで妻が好き」と語る夫の、妻との本気の向き合いかた
夫婦インタビュー女性である私は「男の人は、友達同士で家庭の話をあまりしないもの」というイメージを持っていました。家庭の話より仕事の話をする。友達の前で家庭の話をするのはどこか気恥ずかしい。私以外にもそんなイメージを持っている女性がいるかもしれません。
今回取材させていただいた渡辺賢智さんは、仲の良い知人男性に「奥さんのことが大好きなんだ」というお話をしていたそうなのです。こんなカッコイイことを言ってしまう彼は、日頃どんなふうに奥様と向き合っているのでしょうか。
渡辺賢智さん
<現在の仕事>
株式会社白ヤギコーポレーション 代表
<勤務曜日と帰宅時間>
平日勤務で、帰宅時間は日によって異なる。
オフィスが自宅から近いため、一度家に帰って子どもたちをお風呂に入れた後、また戻る日が週に1~2回。
<家族構成>
妻、子ども2人(男7歳、男1歳)
<奥様の職業>
専業主婦
人はなぜ結婚するのか?
–結婚の決め手になったことはなんでしたか?
渡辺さん(以下、敬称略):
大きなきっかけは、僕の上海赴任です。もともと好きな人ができてその人と付き合ったら結婚するものだと考えていましたし、上海と日本と国をまたいでのお付き合いは大変かなと思ったので結婚したっていう感じでしょうか。
–結婚前ってお金の使いかたや価値観など、いろいろ考えてしまったりしていませんでしたか?
渡辺:
僕は何も考えてなかったです。(笑)
–結婚前に人生観や仕事観については何か話をしていましたか?
渡辺:
していました。
「MBAを取ります」「起業します」という話はしていましたし、どちらも実現しました。そして、妻はついてきてくれました。
コンサルタント時代は高かった年収が、起業したら下がってしまったんですが、お金のことを気にしない人で良かったなと思っています。そういえば、彼女のキャリアプランや人生プランは聞いていなかったですね。「やりたいことができたら良い」といった雰囲気で、大きな野望はなさそうでした。僕は野望ばかりですけど(笑)。
–少し哲学的な質問なんですが、人はなぜ結婚するのだと思いますか?
渡辺:
良い質問ですね!
個人的には、税金と法制度だけだと思います。結婚は社会制度だから、扶養控除とか、法的な整備がされているからするんだと思います。
だから結婚は、本質的にはしてもしなくてもどっちでも良いものだと思うけれど、ずっと一緒にいたいと思う人がいるのであれば結婚して社会制度に乗っかったほうが色々便利だと思います。対外的にも「大事な人です」と言うより「妻です」と言ったほうが伝わりやすいですし。
「なぜ結婚するのか?」は、「なぜ人は服を着るんですか?」っていう問いと似ているかもしれません。
–上海生活はどうでしたか?
渡辺:
楽しかったんですが、自分ならカンタンにできることが妻にはできなくて、それだけがお互いにストレスでした。
例えば、サービスアパートなので、電球が切れた時には「替えてください」って電話で依頼するだけなんですが、妻はそれを嫌がったんです。言葉がわからないし、誰が来るかわからないし怖い。
あのときは、用事を全部僕がこなしていたので、面倒だなって思ってました(笑)でも、途中で気持ちが変わったんです。
できることや耐えられることは人によって違うんだなぁって。「なんでそんなことができないの?」「なんでそんなことで文句言うの?」っていうポイントが自分とは違うわけです。
だから、結婚したらそれを早く見つけて理解することが大切だなってあの経験で早めに気づけたのは良かったです。
–逆に奥様が合わせてくれていると感じたことは何かありますか?
渡辺:
いっぱいありますよ。
例えば、僕はすごく道に迷うんです。そういうのは、妻にとってはすごいストレスだと思うんですけど、「しょうがないな」って感じで受け止めてくれています。
あと、僕は適当なので、必要なお金の支払いを忘れてしまったりするんですが、見逃してくれています。(笑)
もちろん文句を言われることはありますが、あくまでも「しょうがないなこいつ」って感じで、「なんでそんな簡単なことができないの?」とは言わないんです。
もしも「頼むから道に迷わないようになってほしい」と言われたら、すごく負担になってしまうと思います。
浮気したくない、想いを立証できる手段は行動だと思う
–共通の知人から、渡辺さんは奥さんが大好きだと伺ったんですが…
渡辺:
大好きですよ。超好きですよ。
–奥様のどんなところが好きですか?
渡辺:
難しい質問ですね。(笑)
いつも素で、はっきりしているところですかね。わかりやすいっていうか。
–一緒にいて楽だし信用できるってことですかね?
渡辺:
そうです!
結婚していても、一緒にいる時間は一日数時間程度。夫婦って実は会っていない時間が長いもの。実際に見えているものと見えていないものの間にギャップがないこと、裏表がないことが大事だと思うんです。
見えない部分を知りたいとは思わないけれど、見えない部分を知らなくても良いと思えるような人と一緒にいたい。これはすごく重要です。
–見えない部分を知らなくても良いと思えるってどういうことですか?
渡辺:
たとえば、彼女や奥さんがいて「その人のことが一番だ」と言っているのに、別の女性と遊んでいる男性が世の中にはいますよね。それはその男性の心の中ではつじつまが合っているのかもしれないけれど、男性が取っている行動を見た周囲の人からしたら、全然つじつまが合っていない。
人の心は目に見えないものだからこそ、目に見えるものである「実際の行動」が伴っていないと「何を考えているのかわからない人」になってしまいます。
だから、嘘やその場しのぎの会話の積み重ねで勝負していくのではなく、考えていることと実際の行動を一致させられる人間でいたいですし、パートナーもそういう人であって欲しい。じゃないと一緒にいられませんよ。
–理性と本能のせめぎ合いが起きた場合に、浮気することなく、きちんと理性で判断できる人でいるってものすごく大切ですよね。
渡辺:
相手を大切に想う気持ちを伝えられるのは行動だけですから。夫婦生活はマラソンなので、長きに渡ってその想いを感じてもらうイメージです。
–短い時間しか一緒にいられない日々の生活の中で、工夫していることは何かありますか?
渡辺:
工夫しているとまでは言えないですが、気を遣うようにしています。
妻に家事の負担をかけないようにしているつもりです。お皿洗いをしたり、子どもを幼稚園に連れて行ったり、お弁当を作ったり。
いつも手はつなぎますよ。あとは、変な恰好で家の中を歩かないようにしています。彼女の前で着替えたりもしません。お付き合いしていた頃と同じような“大好き”テンションでずっと一緒にいます。
子どもができて、夫婦ゲンカの内容が変わった

子どもたちの送り迎えもできる側がやる
–子どもがいなかった時と比較して、奥様とのコミュニケーション方法や接し方は何か変わりましたか?
渡辺:
夫婦ゲンカの内容が変わりましたよ。
子どもがいる場合のケンカの理由は3つあると思うんです。
1つは、「これは誰のものか」っていう所有権をめぐるもの。うちではあまりないんですが、例えば「これは誰のお金か」といったことです。
2つ目は、「誰がこの仕事をするのか」っていう役務の争い。
子どもがいると、これが圧倒的に増えます。「誰がお皿を洗うのか」、「誰がお金を振り込むのか」、「疲れて帰ってきた後に、誰がおむつを替えるのか」、「誰が子どものお弁当をつくるのか」「子どもを遊びに連れていくのは誰なのか」といったこと。
あともう1つは、ポリシーの争い。
「子どもは保育園か幼稚園か」、「旅行はどこに行くか」といったことです。どっちも譲らないってことはないですが、最後は奥さんが決めている気がします。
解決のためのコツは、譲り合いですね。
譲ってもらうときには、予め宣言します。
–何を宣言するんですか?
渡辺:
例えば、明け方の3時まで仕事をしていた時には、「明日の朝は起きられないからごめん」ってあらかじめ言っておくんです。明日の朝のお弁当作りは妻にお願いする。
–家族と接する際の座右の銘は何かありますか?
渡辺:
「明日から頑張る」。
できないことが多くあるので、それについてクヨクヨしてしまうと暗くなっちゃう。だから、「明日から頑張る」んです。
これからやりたいこと
–これからの夫婦生活についての希望・野望はありますか?
渡辺:
家事や子育てを楽にしたいです。妻を楽にしてあげたい!
もっと稼いで、家事をやってくれるかたを雇うとか。
あとは、人生の選択肢を広げたいです。たとえば、私自身が台湾人と日本人のハーフなので、子どもは他の国で暮らすのもありだと思っています。
ライター所感
多くの女性が考える「素敵な男性」って、渡辺さんみたいな人のことなんじゃないかと思いました。 人から褒められることがなくても、見えないところで正しいことを続けられる人。
よそ見することなく正面を向いて生きる彼がとても幸せそうに見えるのは、目の前にいる人を愛していて、人から愛される喜びも知っていて、心がいつもポカポカと満たされているからなのかもしれません。