女の私に足りていなかった「妊娠、出産、育児」への想像力

「知事が、妊婦に。」というキャッチコピーで話題になったのが、「九州・山口 ワーク・ライフ・バランス推進キャンペーン」。これは山口県、宮崎県、佐賀県の知事の3人がマタニティジャケットを着用し、実際の7か月の妊婦の生活を体験するというものです。

 

階段をおそるおそる降りる知事、車を乗るのに「よっこいしょ」とつぶやく知事、靴下を履けなくて苦労する知事……。

 

妊娠するとどうなるか、まさに体当たりのキャンペーン。しかし妊娠中の大変さを知らないのは男性だけではありません。女性である私ですら、最近まで知らなかったのです。

女の私に足りていなかった「妊娠、出産、育児」への想像力

「妊婦さん」「赤ちゃん」がまわりに全くいなかった

既婚、子どもなし。三人兄妹末子長女の私は、20代後半になるまで家族や親族、友人に「妊婦さん」、そして「赤ちゃん」が身近にいませんでした。

 

アラサー前に義姉に子どもが生まれ、転職した会社にマタニティスタッフが2人いたことで、やっと「妊娠・出産・育児」が身近になったのです。

 

とはいっても、私の仕事しているオフィスとマタニティスタッフのかたが働いている店舗は別の場所。そして週に1回、顔を合わす程度。

 

たまにしか会わないので、そのたびに体の変化に驚きました。とくに6~7か月あたりにお腹が前に出てきたのにびっくり! いきなりこんなに大きくなるの!? 産休前でもこんな大きいのに、まだ大きくなるのか……となぜか私がドキドキしていたのを覚えています。

妊婦さんが働くということ

ある日、たまたまマタニティスタッフと地下鉄で一緒に帰ることに。電車は帰宅ラッシュがちょっと落ち着いたころでしたが、座席は満員。「空きないね」と私がつぶやくと、マタニティマークに気づいた女子高生がすぐ譲ってくれました。

 

「よかったね」と言う私に、彼女は「本当ラッキーです。まぁ、こんな時間にこんな服で乗ってる妊婦なんて、遊んできたのかと思われても仕方ないですよね」と答えたのです。

 

その言葉に私はショックを受けました。

 

会社は出勤後エプロンをするだけであとは私服でOK。よく動くのでラフなファッションのスタッフが多く、さらに終業時刻は19時。席を譲る譲らないは別として、たしかに「病院の診察? こんな時間に?」と訝しむかもしれませんし、わたしも同僚でなければこんなお腹の大きい妊婦さんが「働いてきた」なんて想像できなかったかもしれません。

 

妊娠して、働く。それはただ業務をすること以外に大変なことが多すぎると、そこではっと気がついたのでした。あのときマタニティスタッフとして働いていた人たちに、できることがもっともっとあったのではないかと今でも反省することがあります。

運動会って大変?

先日、姪の運動会に行ってきました。まだ1歳クラスなので、お父さんと一緒にかけっこ(抱っこ、肩車もあり)したり、お母さんとダンスしたり……という内容でとても微笑ましかったです。

 

保護者のかたのなかには妊婦さんも数人。保育園には1歳〜5歳くらいまでの子がいますから、2歳差、3歳差の兄弟の親になるということは、妊娠中に幼稚園や保育園行事にも出席することになります。当たり前のことですが、実際目にすると「大変だ!」とやっとそこで気が付きました。お母さんとのダンスでも「高いたか~い」「ぎゅーっと抱っこ」など結構体を動かすものもあり、お父さんの力が必要。

 

さらに今回は1~2歳クラスの運動会で、数日後には上の年齢クラスの運動会があるとのこと。兄弟がいると、運動会に2回出席することに。これでさらに自分が妊婦だったら……考えるだけでどっしり疲労が……。

 

自分だってその可能性がゼロではないのに。想像力の欠如を強く感じました。妊娠するって言葉は簡単ですが、そこから考えることが本当にたくさんあります。

 

百聞は一見にしかず。冒頭に書いたマタニティジャケットを着た知事のように、もっとマタニティ体験できる場が一般人に男女年齢関わらず増えてもいいと思うのですが、なかなかそれは難しいことでしょうか。