ビジネススキルを活用した「夫婦関係カイゼン実践講座」
毎月5万円の余裕を生み出す家計の節約術とは
夫婦のお悩み解決コラム夫婦の間に起こるさまざまな問題を、ビジネスフレームワークを使って解決することを提案する本連載。子どもの教育方針やダイエット、住まいの片付けなど、家庭で普通に起こりがちな問題もフレームワークを使うことが解決への大きな道しるべになることがおわかりいただけたと思います。
ちなみに、第1回から第4回までは以下の内容でした。
第1回「家庭の問題をブレイクダウン&SWOT分析」
第2回「子どもの教育方針をマインドマップ&ロジックツリーで『見える化』しよう」
第3回「妻のダイエットをKPTで習慣化する」
第4回「住まいを5Sでスッキリ片付ける」
第5回目、最終回となる今回は、かの有名な「PDCA」というフレームワークを取り上げます。
この記事でご紹介すること
PDCAを使って効率よく目標を達成する
PDCAは、目標に向かって着実にカイゼンを繰り返していくためのフレームワークです。PDCAだけに絞ったビジネス書も多く出版されており、実際に職場で経験されたかたも多いのではないでしょうか?
PDCAとは計画 (Plan)・実行(Do)・検証(Check)・改善(Action)の頭文字をとったもの。アメリカの統計学者でありコンサルタントのウィリアム・エドワーズ・デミングが提唱したフレームワークです。本来は製造業における品質管理や生産性向上を目的としたものでしたが、現在ではあらゆるビジネスシーンで使われるようになりました。
今回は例として「学資保険に入るため、あと5万円の収入が必要になった家族」という設定でPDCAを行っていきます。
先行きが不透明なこの時代、将来の大きな出費に備え学資保険に入っておくのは賢明な判断といえるでしょう。ただ、その毎月の掛け金をどう捻出するかは夫婦で知恵を絞る必要があります。ムリなく着実にムダを省いていくことや、新たな収入源を得ることで目標を達成したいですね。
こんな時こそPDCAが役に立ちます。
P→D→C→Aの順に夫婦でカイゼンを実行していく
では、実際にPDCAを回していきましょう。下記のようなペーパーを用意して、夫婦 (メンバー)で話し合いながら進めていきます。
1. P(計画)では、目標を明らかにして実行計画に落とし込む
最初のP(計画)では、目標を実現するための計画を立てていきます。注意したいのが、目標は曖昧なものではなく、可視化できたり数値で評価ができたりするものにするということ。
たとえば、「一人ひとりの営業成績を向上させる」では個人の受け取り方によってレベルの違いが出てきますし、後々の評価ができません。「全員が毎日10件、アポとりの電話をする」といった数値化されたものでないと、絵に描いた餅になってしまいがちです。
学資保険のお金を捻出するというテーマなら、どうすればムダが省けるか? どうしたらあと少しの収入増が可能になるかを話し合い、ペーパーに記入していきます。このとき、あまりにムリな計画は論外ですが、可能性があるのならどんどんチャレンジしていくつもりで記入します。
失敗してもだいじょうぶ! PDCAは、試行錯誤を繰り返してカイゼンを目指すフレームワークです。とにかく行動しないことには、現実とのギャップも見つけられません。
2. D(実行)では、計画に従って着実に実行する
このフェーズでは、ひたすら計画を実行します。もちろん、うまくいかないことも出てくるでしょうが、なぜうまくいかなかったか、結果や原因をしっかりと記録しておくことが大切です。
3. C(検証)では、Dの成果を検証・評価する
実行した結果を評価するフェーズです。うまく行ったこと、うまく行かなかったことの検証を行い気づいたことを記入していきます。
4. A(改善)では、反省点を検証し次の計画に活かす
改善のフェーズでは、検証の結果を吟味して必要なカイゼン策を書き出します。うまく行かなかったことは、どうすればうまくいくのか、あるいはもともと無理な計画だったのか、よく考えて方針を決めます。
このようにして、再びP(計画)に戻り、目的を達成するまでPDCAサイクルを回し続けます。
PDCAは1回で終わるものではなく、何度も回しながらさらなるカイゼンを図っていくものです。やりっぱなしで「ある程度できた」と満足するのではなく、メンバーでしっかりと定期的に検証しながら回していくことがポイントです。
このフレームワークはビジネスの現場はもちろん、今回ご紹介したような家庭での課題解決や個人的な課題のカイゼンにも応用できるものです。
PDCAのメリット
- 夫婦(メンバー)が目標に向かって継続的にカイゼンを進められる
- 変化が激しい環境下でも検証を繰り返すことで対応できる
- 目標・行動・問題点・改善点が「見える化」できる
- 定期的に会議を開くことで夫婦(チーム)内コミュニケーションが活性化する
ぜひご参考になさってください。
ビジネスフレームワークについて、夫婦の問題解決という視点からご紹介してきたこの連載記事ですが、ご参考になったでしょうか。
テレビでもおなじみの著述家・評論家の勝間和代さんは、フレームワークについて「思考に補助線を引くもの」だとおっしゃっています。
人生を航海していくうえで巻き起こる混乱した状況をまとめあげ、あなたの人生の、そして夫婦関係の見通しをよくするために、ぜひフレームワークを活用してみてください。