知っておきたい「時短勤務」の基礎知識とメリット・デメリット

子どもが小さいうちは、フルタイムで働くと大変。かといって退職すると、せっかく築き上げてきたキャリアがなくなってしまう……。そんなときに便利なのが「時短勤務」。

時短勤務は法律で定められている、男女問わない労働者の権利です。気になるのが条件や給料のこと。フルタイムとの差やメリット・デメリットをまとめてみました。

 

短時間勤務制度とは

時短勤務というのは通称。育児・介護休業法では「育児のための所定労働時間短縮の措置」といわれ、男女ともに仕事と家庭の両立ができる働きかたの実現を目的にしています。

3歳に満たない子を養育する労働者(男女問わず)に対して、「1日の所定労働時間を原則として6時間」とする短時間勤務制度を設けることを事業主に義務づけています。

「3歳に満たない」というのは3歳の誕生日の前日までのことで、3歳に達するまではこの制度が利用できます。企業努力により小学生まで利用できる場合も。

 

フルタイムとの給料の差

勤務時間が減ったぶんの賃金はほとんどの場合、保証されません。では、どのくらい給料に差がでてしまうのでしょうか。月収を時間に換算して計算するとおおまかな数字がわかります。

計算方法

  1. フルタイム:(1日の労働時間)×(1ヶ月の労働日数)=(1ヶ月の労働時間)
  2. 時短勤務 :(1日の労働時間)×(1ヶ月の労働日数)=(1ヶ月の労働時間)
  3. (フルタイムの基本給)×(②)÷(①)=(時短勤務の給与)

上記にあてはめてざっくり計算してみましょう。

給与の差

月収200,000円、1日の労働時間8時間、1か月の労働日数20日の場合

  1. 8(時間)×20(日)=160(時間)
  2. 6(時間)×20(日)=120(時間)
  3.  200,000(円)×120(時間)÷160(時間)=150,000(円)

こちらはあくまでも概算ですが、1日2時間の差が給与5万円の差に。この他にも、時短勤務は賞与や昇給にも関わってきます。年収で考えるとこれよりも差がでると予想されます。

会社の規定によっても変わることなので、時短勤務中の先輩に前例の確認をしたり、上司とよく相談するようにしましょう。

 

短時間勤務制度のメリット・デメリット

時短勤務のメリット

  • 仕事と家庭の両立ができる
    育児や家事に目を向けることができるので、子どもとの時間が増えるのがうれしいですね。肉体的・精神的な負担が軽減されそうです。
  • キャリアを継続できる
    育児を理由に退職をしてしまうと、築き上げたキャリアがなくなってしまいます。時短勤務という無理のない範囲内で継続して働けるのはありがたいことですね。
  • 年金額は減らない
    給与とともに支払う保険料も下がるので「将来の年金額も減る?」と不安になるかもしれませんが、大丈夫。「養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置」により、3歳未満の子どもを養育中の場合、子どもが生まれる前の標準報酬月額に基づく年金額を受け取ることができます。保険料の支払いが下がったら、事業主に申告をして手続きをしてもらいましょう。

時短勤務のデメリット

    • 収入が減る
      働く時間が減ったぶん月収も減ります。手当や賞与、昇給に関しても影響するので年収も減ります。会社によっては退職金が減ることも。仕事に対するモチベーションも下がってしまいそうですね。
    • 職場での人間関係でストレス
      時短勤務ということで、難易度の高い仕事を頼まれなくなることがあります。また難しい仕事を引き受けて、時間内に終わらせることができなかったり、突然の子どもの発熱や怪我などで早退や欠勤したりと、どうしても同僚を頼ることが多くなってしまいがちに。「小さな子どもがいるから仕方ないよ」と優しい言葉をかけられても、回数が重なると申し訳ない気持ちがストレスになってしまうことも。
    • 家事と育児の負担が増える
      仕事と両立できるといってもそれは可能な範囲の話。時短だからといって家事・育児分担を一気に引き受けると、休む暇がなくなることも。夫とよく話し合いをして、分担をどうするか定期的な見直しが大切です。

 

どんな人が利用できるの?

育児による短時間勤務制度を利用できるのは、以下のすべてに該当する男女の従業員です。

  • 3歳未満の子を養育する従業員
  • 短時間勤務をする期間に育児休業をしていない
  • 日々雇用される労働者でない
  • 1日の所定労働時間が6時間以下でない
  • 労使協定により適用除外とされた従業員でない

労使協定により適用除外される従業員

  1. 雇用された期間が1年に満たない
  2. 1週間の所定労働日数が2日以下
  3. 短時間勤務制度を講ずることが困難な業務の従業員

※3の場合、事業主は代替措置として以下のいずれかの制度を講じる必要があります。

  • 育児休業に関する制度に準ずる措置
  • フレックスタイム制度
  • 始業・終業時刻の繰上げ、繰下げ(時差出勤の制度)
  • 事業所内保育施設の設置運営その他これに準ずる便宜の供与

会社への申請の方法

短時間勤務制度の手続きは就業規則等の定めによります。勤務先に相談しましょう。

 

時短勤務以外に利用できる制度

その他にもいろいろな制度があるのでご紹介します。どれも開始日の1か月前に事業主に請求する手続きが必要になります。また、請求の回数制限はありません。

入社1年未満や、1週間の所定労働日数が2日以下の労働者、事業の正常な運営を妨げる場合、事業主は請求を拒むことができます。

  • 所定外労働の制限(残業の免除)
    3歳未満の子どもを養育している労働者が申請すると、1ヶ月以上1年以内の期間、残業が免除されます。
  • 法定時間外労働の制限(時間外労働に上限を設ける)
    小学校就学前の子どもを養育する労働者が申請すると、1ヶ月24時間・1年150時間を超える時間外労働が制限されます。
  • 深夜業の制限
    小学校就学前の子どもを養育する労働者が申請すると、1ヶ月以上6ヶ月以内の期間、深夜(午後10時~午前5時)の就労が制限されます。所定労働時間の全部が深夜にある場合や、育児できる同居人がその時間家にいる場合などは対象外になります。

「一億総活躍社会」の実現のため、「育児と仕事の両立」を目指す育児・介護休業法の改正が進められています。そうはいっても、職場でもまだまだ理解されないことや歯がゆいことも多いのが現実。先輩ママやキャリアコンサルタントに相談しながら、理想の働きかたを見つけてくださいね。

出典:
厚生労働省

「育児・介護休業法のあらまし」
「育児・介護休業等に関する規則の規定例」
「育児・介護休業制度ガイドブック」
日本年金機構 「養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置」