どっちがお得? 共働き世帯と専業主婦世帯を比べてみよう

女性の社会進出が進んだ昨今、共働きと専業主婦の比較について見聞きすることも多いですよね。今回は、共働き世帯と専業主婦世帯について比較してみます。パート・アルバイトで働きたい人は、税金・年金の計算方法も要チェック!

 

1. 共働き世帯・専業主婦世帯の現状とメリット・デメリット

高度経済成長時代は専業主婦世帯が一般的でした。しかし90年代に専業主婦世帯と共働き世帯の比率が逆転し、2016年の共働き世帯数は過去最高の1129万世帯に増加。

共働き世帯増加の背景には、女性の社会進出・家電の発達による家事の負担減少・子どもの教育費の増加などがあります。

しかし女性の社会進は進んでいるものの、まだまだ家事・育児の負担は妻にかかりやすいのが現状。また仕事に打ち込むあまり結婚・出産のタイミングを逃してしまう女性も少なくありません。

そんな先輩女性たちの現状を見た20代女性の間には、再び専業主婦志向が高まっているそうです。

 

2. 共働き世帯のメリット・デメリット

共働き世帯のメリット

  • 経済的に余裕が生まれやすい
    夫婦2馬力で働くことで経済的余裕が生まれ、家族の趣味や子どもの教育にも力を入れやすくなります。また夫婦のどちらかに万が一のことがあっても金銭的に困窮するリスクが低くなります。
  • 妻が仕事を通じて自己実現しやすい
    仕事を頑張ることで、第三者から目に見えやすい方法(給与・職位など)で評価してもらうことができます。生き生きと趣味やボランティアなどを楽しむ専業主婦もたくさんいますが、外で働くことでより自分の価値を認識しやすくなりますので、視野が広がるでしょう。

共働き世帯のデメリット

  • 時間や体力に余裕がなく、家事・育児に手をかけにくい
    外で働く時間が長いと、家事や育児にかけられる時間や体力が少なくなります。家電や時短グッズなどを活用すれば家事の負担はいくらか減らせますが、子どもと過ごす時間の短さや園・学校の行事に参加しづらいことに悩むパパ・ママはたくさんいます。
  • 妊娠・出産のプランが立てにくい
    働く女性が妊娠すると、産休・育休を取る必要があります。仕事復帰後も、しばらくは子どもの送り迎え・急病などで仕事をセーブせざるを得ない状況が続くでしょう。妊娠・出産したくても、職場の社風や状況・夫の協力度によっては思うようにプランを立てられないケースが少なくありません。
  • かえって出費が増えることも
    妻が働くことで、保育料・妻の美容被服代・外食費などが上がりやすくなります。世帯収入やお金の使いかたによっては、収入と支出のバランスが崩れて逆に損をしてしまうことも。

 

3. 専業主婦世帯のメリット・デメリット

専業主婦世帯のメリット

  • ゆとりを持って家事・育児ができる
    専業主婦の最大の強みは時間に余裕があること。妻が家事・育児をしっかり行うことで、夫も安心して外で仕事できるでしょう。子どもが小さい間は家にいて、子どもの成長をじっくり見守ってあげたいと思うママも少なくありません。 
  • 妊娠・出産のプランを立てやすい
    専業主婦は妊娠・出産と仕事との兼ね合いを心配する必要がなく、「早く子どもが欲しい」という理由で結婚後すぐ専業主婦になる人もいます。また不妊治療を行う場合は通院の予定を立てやすくなります。

専業主婦世帯のデメリット

  • 経済的に不安定になりやすい
    夫の収入のみに依存するため経済的不安を抱えている世帯や、妻が自由に使えるお金が少ない世帯がたくさんあります。もし夫が病気などで働けなくなったり離婚したりすると、経済的に困窮するリスクが高くなります。
  • 「外で働いていない自分には価値がない」と悩む専業主婦も
    外での仕事と違って、家事・育児は目に見える形で評価されにくいもの。それまでバリバリ働いていた女性が結婚・出産などを期に専業主婦になると、家事・育児をしっかりやっていても「自分にはたいした価値がない」と悲観的になることも多いようです 
  • 育児・介護中の場合、精神的に余裕がなくなることも
    仕事をしていれば一時的に育児・介護から離れられますが、育児・介護にかかりきりの専業主婦はどうしてもストレスをためやすくなります。お金を使って気分転換することをためらって、一人で抱え込んでしまうケースも少なくありません。

 

4. 税金や年金はどうなるの?

所得税・住民税の支払い義務(103万円の壁・141万円の壁)

  • 配偶者控除(103万円の壁)
    妻が専業主婦または妻の年間合計所得が38万円未満(妻の収入が給与のみの場合は年間103万円未満)の世帯では、「配偶者控除制度」を利用できます。この場合は妻自身が所得税・住民税を支払う必要がなく、夫の所得から一律38万円の控除を受けることができます。
  • 配偶者特別控除(141万円の壁)
    妻の年間合計所得が所得38万円以上76万円未満(妻の収入が給与のみの場合は年間103万円以上141万円未満)の世帯では、夫の所得から妻の所得に応じた控除を受けられる「配偶者特別控除制度」を利用できます。ただし夫の年間合計所得が1000万円(給与収入約1231万円)を超えた年は控除を利用できません。

妻の年収が141万円を超えると税法上の扶養から完全にはずれ、所得税・住民税をすべて妻自身が負担しなければなりません。

社会保険料の支払い義務(106万円の壁・130万円の壁)

以下の条件をすべて満たす場合、妻自身が社会保険(健康保険・厚生年金)に加入して社会保険料を支払う必要があります。

  • 夫が会社員もしくは公務員
  • 妻の給与収入が月間108,334円以上(年間130万円以上)
  • 妻の1週間あたりの勤務時間、もしくは1ヶ月あたりの勤務日数のいずれかが正社員の3/4以上

201610月に法が改正され、新たに「106万の壁」が登場しました。

以下の条件をすべて満たす場合、やはり妻自身が社会保険料を支払う義務があります。

  • 夫が会社員もしくは公務員
  • 妻の給与収入が月間88,000円以上(年間106万円以上)
  • 妻の勤務時間が週20時間以上
  • 妻が勤続1年以上見込み
  • 妻の勤務先の従業員数が501人以上
  • 妻が学生ではない

年間控除額の計算例

東京都の場合、妻の年収に応じて受けられる控除額(所得税・住民税控除額社会保険料負担額)はおおむね以下のようになります。

ただし勤務先によっては社会保険料負担額の計算方法が若干変わることがあります。

  • 妻の年収が90万円…38万円(38万円-0円)
  • 妻の年収が100万円…36万円(36万円-0円)
  • 妻の年収が106万円(「106万円の壁」の条件を満たす)…20万円(36万円-16万円)
  • 妻の年収が110万円(「106万円の壁」の条件を満たさない)…31万円(31万円-0円)
  • 妻の年収が130万円…-8万円(11万円-19万円)
  • 妻の年収が141万円…-20万円(0-20万円)

夫婦控除って?

現在配偶者控除の代わりとして検討されている「夫婦控除」は、妻の年収に関係なく夫婦の所得合計額から一定額が控除される制度です。早ければ2018年度から実施されるとも言われていますが、具体的な点についてはまだ明らかにされていません。

もし夫婦控除が実施されたら、パート・アルバイトの妻は「103万の壁」などを気にして収入を抑える必要がなくなり、共働き家庭にとっては有利になるでしょう。逆に妊娠出産・介護などで働けない専業主婦家庭では負担が増えてしまう恐れがあります。

 

5. 結局どっちを選んだらいいの?

近年共働き世帯が増加していますが、働きかたによってはかえって損をしてしまったり、体力的・精神的余裕が少なくなったりすることも。同じ働きかたを続けていても、給与額や法律が変わったために収入・支出のバランスが変わることもあります。

無理なく働くためには、何を基準に働きかたを決めればよいのでしょうか。

何のために働きたいか?

外で仕事をしている既婚女性はさまざまな動機を持って働いています。

  • 生活費や教育費を得るために、しっかり働きたい
  • 将来のためにスキルアップしたい
  • 育児・介護の隙間時間に働いて、家計やお小遣いの足しにしたい
  • 家にこもりきりにならず、働くことで視野を広げたい

たとえば収入・スキルアップ重視なら、長時間労働でもしっかり稼げる仕事やある程度の責任を負うような仕事が良いですよね。あくまで家事・育児をベースにしたいなら、時間の融通がききやすい仕事が適しているでしょう。

自分自身や周囲の人の現状は?

仕事へのモチベーションやスキルが高くても、家事・育児などの負担が大きいと外で仕事するのは大変ですね。夫や実家・義実家などの協力があればずいぶん働きやすくなりますが、家事・育児・仕事のほぼすべてを一人でこなして疲れきっている女性も少なくありません。

また人によっては「地方住まいで、仕事の選択肢が少なすぎる」「夫の転勤が多く、1ヶ所で長く働きにくい」などの事情もあります。自分自身や周囲の現状をよく確認したうえで、働きかたを決めましょう。

女性の一生は結婚・妊娠出産などで大きく左右されます。しかし、働くパパ・ママのための勤務制度やインターネットの普及によって働きかたの選択肢が増えつつあります。

最近では時間があるときだけ期間限定の仕事をする人や家事育児の合間に在宅仕事をする人も多く、専業主婦と働く女性(兼業主婦)の境目が少しずつ曖昧になってきています。働く・働かないをキッパリ決めてしまうより、ライフステージに合わせて柔軟に働きかたを変えられるのが理想的なのかもしれません。

妻の働きかたに応じて税金・年金の負担額が変わってくるので、できるだけ損をしないように働きたいですね!

参考:図12 専業主婦世帯と共働き世帯|早わかり グラフでみる長期労働統計|労働政策研究・研修機構(JILPT)