男性も育休を取るためには? 育休制度や保証内容
夫婦のお悩み解決コラム「イクメン」が叫ばれている昨今ですが、日本では男性が育児休業を取得する割合はわずか3.16%。平成28年度の調査結果ですが、取得率は過去最高だといわれています。一方、スウェーデンでは88.3%の男性が育児休業を取得しているのだそう。国が違うだけで、大きな差が生まれていますね。
日本では2020年までに、男性の育児休業取得率を13%まで引き上げることを目標としています。はたして、それを達成するためにどんな取り組みを行っているのでしょうか。
今回は日本での男性による育休の制度や、それに関する不安の解消方法、また各国の男性のための育児休業の取り組みについてご紹介します。
この記事でご紹介すること
1. 男性も育休を取れるの?
男性が育児休暇を取得しやすいように、さまざまな制度ができています。
「パパ休暇」で、パパは2回育休が取得できる
ママの出産後8週間以内の期間内にパパが育児休業を取得した場合には、特別な事情がなくても、再度パパが育児休業を取得できます。要件は以下の通り。
- 子の出生後8週間以内に育児休業を取得していること
- 子の出生後8週間以内に育児休業が終了していること
夫婦で取得する場合は、子どもが1歳2ヶ月になる日まで取得できる
育児休業は原則として、子どもが1歳になる日までの連続した期間取得することができますが、夫婦で取得する場合は「パパ・ママ育休プラス」という制度により、パパとママの育休期間をずらして最大1歳2ヶ月まで休業できます。ただし、以下の要件を満たす必要があります。※1人当たりの育休取得可能最大日数(産後休業含め1年間)は変わりません。
- 配偶者が子どもが1歳になるまでに育児休業を取得していること
- 本人の育児休業開始予定日が、子どもの1歳の誕生日以前であること
- 本人の育児休業開始予定日は、配偶者がしている育児休業の初日以降であること
ママが専業主婦でも、育休を取得できる
常態として子どもを養育することができる場合でも、労働者からの育児休業取得の申出を事業主が拒むことはできません。
2. 育休中の給与保証と復帰
比較的「一家の屋台骨」となりがちな男性の給与は、育休を取得しても保証されるのか心配になりますよね。また、復帰後の理不尽なリストラや配置転換なども気になるところです。
「育児休業給付金」が支給される
育児休業期間中、賃金が支払われないなど一定の要件を満たす場合には、育児休業給付金が支給されます。夫婦で育休を取得する場合、どちらにも支給されますよ。支給金額は休業開始時賃金の67%、休業開始から6ヶ月経過してからは50%となります。
「育児休業給付金」に所得税はかからない
育児休業給付金は非課税のため、所得税はかかりません。また、翌年度の住民税算定額にも含まれないのだとか。さらに育児休業中の社会保険料は労使ともに免除されます。給与所得がなければ、雇用保険料も生じませんよ。また、住民税の徴収猶予制度が利用できる自治体もあるそうです。詳しくはお住まいの市区町村へ問い合わせてみてくださいね。
手取り賃金は休業前の最大約8割
いつもは給与から引かれていた「所得税」・「社会保険料」・「雇用保険料」がかかりません。賃金の67%の育児休業給付金から、住民税が引かれるくらいのイメージですね。厚生労働省のリーフレットに収入のイメージがありましたが、育児休業前の手取りが178,800円の場合、育児休業中の手取りは139,100円となるそうです。
復帰後に不当な扱いを受けたら?
育児・介護休業法では、育児休業の申出や取得を理由とする解雇・その他の不利益な取扱いを禁止しています。不当な扱いを受けた場合は、都道府県労働局雇用環境・均等部(室)に相談することができます。
上司・同僚から嫌がらせを受けたら?
育児休業等の制度を利用したことなどに関して、上司・同僚からの言動により就業環境を害される場合、会社の相談窓口に相談しましょう。事業主には、それらのハラスメントを防止する義務があります。それでも解決しない場合は、都道府県労働局雇用環境・均等部(室)に相談すると良いそうです。
育児休暇の取得は労働者の権利!
育児休業の取得は法律に基づく労働者の権利です。基本的に会社はその取得を拒否・制限することはできません。
3. 各国の男性の育児休業取得率は?
男性の育児休業取得率は、他国ではどうなっているのでしょうか。各国ごとに制度の内容や関連制度が異なっているので厳密な比較ではありませんが、以下のとおりです。
- ノルウェー:90% (2012年)
- スウェーデン:88.3%(2004年)
- ・ドイツ:27.8%(2011年)
- ・ポルトガル:23.8%(2013年)
日本の男性における育児休業の取得率は「3.16%」ですから、まさに桁違い。まだまだ発展途上ではありますが、年々取得率も上昇しています。ちなみに、ドイツは2006年の取得率が「3.3%」と今の日本に近い数値でしたが、2007年に制度改正したことで、2011年時点で「27.8%」と上昇しています。
日本でも、育児休業が取得しやすいようにどんどん法改正・施行されています。今はまだあまりにも低い取得率ですが、2020年までに目標の「13%」を上回るように、より良い制度や育休のとりやすい環境へと改善されていくことを望みたいですね。
ノルウェーやスウェーデンのように、男性が育休制度を使うのが当たり前の社会になっていくと、育児に追われているママやパパも助かりますよね。子育てしやすい社会になることで、問題視されている出生率についても上昇していくのではないでしょうか。
そのためには、今の男性が進んで「育児休暇」を取得することが大切です。取得率をどんどん増やすことで、他の社員もそれに続きやすくなるはず。「育休を取得する男性社員が多い企業」となれば、消費者にとっても魅力的に映りそうですね。
育休は労働者の権利なので、赤ちゃんやパートナーとの時間をぜひ大切にしてくださいね。
出典:
厚生労働省
「平成28年度雇用均等基本調査(確報) 事業所調査」
「育児・介護休業制度ガイドブック」
「両親で育児休業を取得しましょう!」
「育児休業給付金が引き上げられました!!」
イクメンプロジェクト「2020年の男性の育児休業取得率を13%を目標に!」
独立行政法人労働政策研究・研修機構
「第1章 国際比較から見る日本の育児休業制度の特徴と課題-ノルウェー・スウェーデン・ドイツ・ポルトガル-」
「スウェーデンにおける男性の働き方と子育て」