セックスレスは離婚事由になる?
夫婦のお悩み解決コラム直面した夫婦にとって、大きな問題である「セックスレス」。最悪の場合、離婚に発展することもあるセックスレスは、相手が離婚に同意しなくとも裁判で認められる「離婚事由」に該当する可能性があります。
司法統計「性別離婚申し立ての動機別割合の推移(1975-2016)」によると、離婚の申し立てをする動機が「性的不調和」である割合は妻が7.2%、夫が13.3%。妻よりも夫のほうがやや高いですが、おおよそ男女ともに1割です。「性的不調和」なので必ずしもセックスレスとは限りませんが、無視できない数字ではないでしょうか。
セックスレスはなかなか他人に相談しづらい、センシティブな内容だからこそ、しっかり知っておきたい内容。今回はそんな「セックスレス」の離婚事由についてご紹介します。
この記事でご紹介すること
1. セックスレスが離婚事由の「婚姻を継続しがたい重大な理由」にあたるか
民法770条をご紹介します。
「夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる」
- 配偶者に不貞な行為があったとき。
- 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
- 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき。
- 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
- その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
セックスレスは、5の「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」に該当するそうです。日本性科学会によるセックスレスの定義とは「病気など特別な事情がないのに、1ヶ月以上性交渉がないカップル」のことをいうそうです。一般的には「どちらかがセックスの誘いを断っている」といわれることも多いですね。
それでは、セックスレスが離婚事由にあたる場合と、あたらない場合にはどのようなものがあるのでしょうか。
離婚事由にあたる場合
- 夫婦のどちらかがセックスを望むが、相手がそれを受け入れない
- 結婚してから一度もセックスをしていない
- 1年以上など長い間セックスレス
- セックスレスに至るまで特別な事情がまったくない
離婚事由にあたらない場合
- 夫婦双方がセックスに対する欲求がない
- 高齢のため自然にセックスがなくなった
- 1回や2回程度、セックスを拒んだ
過去の判例などを見ると、以上のことが多いようですが、ケースバイケース。また、セックスレスを証明するためには「日記」や、セックスを拒否したことを示すメールなどの「記録」があると良いそうです。
2. セックスレスが原因で浮気に走った場合
冒頭の調査結果でもそうでしたが、男性が拒否する場合よりも、女性が拒否する場合のほうが多い傾向にあるようです。産後などは忙しくて、それどころじゃない女性も多そうですね。
その場合に男性が浮気に走ってしまうと、セックスレスはどのような影響を生むのでしょうか。
浮気相手のほうが良くなることも
身も心も浮気相手で満たされてしまった場合、離婚を言い渡されるかもしれません。浮気の証拠が見つかればまだ打つ手はありますが、そうでないなら「セックスレス」という離婚事由で離婚されることになります。慰謝料を払う必要があることも。
セックスレスが解消されればまだ望みはあるかも
セックスレスの場合の浮気は、ただの性欲処理として一時の気の迷いから始めることもあります。夫婦でセックスのできる関係に戻ることができれば、浮気をきっぱりと辞めて仲の良い夫婦として過ごせるかもしれません。
もちろん浮気はしてはいけないことですが、セックスレスとなると難しい問題でもあります。お互いの努力が大切だということですね。
3. 慰謝料はどうなる?
セックスレスが理由で離婚に至った場合、慰謝料はどのようになるのでしょうか。過去の判例などからおおよその慰謝料を出してみると、約10万~300万円と幅が広いようです。セックスレスの期間や夫婦の年齢、慰謝料を払う側の社会的地位などさまざまな要因が関係しているそうです。
過去に高額な慰謝料が認められた条件は以下になるそうです。
- 不貞相手とは性交渉している
- セックスレスの期間が長い
- 性交渉の拒絶方法が冷たい
- 問題改善のための話合いなどの取り組みに協力していない
など
ただし、セックスレスで離婚するとしても、すべての案件で慰謝料が発生するわけではないそうです。「理由のない一方的な拒絶」など夫婦のどちらかに有責性があれば、慰謝料を請求をすることができるようになります。そのためには、「セックスレス」である十分な証拠も必要となりますよ。
共働きや子育て、生活リズムの違いから、セックスレスになる夫婦は多いと聞きます。片方が求めているのに拒絶をするのなら、浮気されたり離婚を言い渡されることがあるので注意。セックスレスは離婚事由でもあるため、最悪の事態を逃れるためには、しっかりと夫婦で努力をすることが大切です。
周りに相談しにくい話題だからこそ、手遅れになってしまう前に対策を練る必要があります。もしも拒否をされているのならその理由を聞いて、拒否をしているのならきちんと相手にその理由を言って、よく話し合ってくださいね。
セックスレスが解消されることで、夫婦のきずなはきっと強固なものになるでしょう。
出典:
民法第770条
離婚弁護士相談広場「セックスレスで離婚できるのか?その方法と慰謝料について解説!」
離婚・慰謝料あんしん相談所「セックスレスが離婚の条件とした時、その期間と慰謝料どれくらいでしょうか?」
性別離婚申し立ての動機別割合の推移(1975-2016)