歯並びにも影響あるかも? 正しい乳幼児の歯のケア方法
夫婦のお悩み解決コラム子どもには綺麗な歯並びでいてほしいし、虫歯になってほしくないのが親心。この子どもの歯並びや虫歯について、実は「歯が生えそろうまで」の習慣がとても大事だということをご存知ですか?
今回はその影響と、正しい乳幼児の歯のケア方法についてまとめてみました。
この記事でご紹介すること
1. 「歯が生えそろうまで」の習慣がとても大切
愛知県東海市で小児歯科のクリニックの院長を務める竹内敬輔医師いわく、一般的に3歳までの子どものお口は、よい噛み合わせ、きれいな歯並びに育っていける柔軟性・可能性を持っているそうです。
そのために大切なのは、家で毎日の習慣を積み重ねていくこと。例えば、授乳時の抱っこの仕方や吸わせる角度、離乳食をあげるときのスプーンの角度、食事を急がせないこと、ストローの使いかたなど。
また、正しいお口のケアの方法も重要です。乳歯が生えそろうころは、一般的に虫歯にはなりにくいとされています。ただし、この時期に虫歯ができた場合は、永久歯も虫歯になる可能性が高くなるそうです。
逆を言えば、この時期に正しいケアをすることで、お口に入った虫歯菌が少なくなるということ。少なければ少ないほど将来虫歯になる可能性が低くなるそうなので、この時期にいかに正しい歯のケアをするかが重要になってきます。
2. 乳児期前半(歯みがきの準備期)
歯のないときには歯磨きは必要ない……と思いきや、実は歯磨きの準備はこの時期から始まっています。具体的には以下のような準備が必要。
口の中を触られるのに慣れさせる
歯磨きのためとはいえ、いきなり口の中を触られると赤ちゃんもびっくりするので、最初は手足や顔・口のまわりを愛情たっぷりに触ってあげてください。赤ちゃんが触られることに慣れてきたら指をよく洗って、赤ちゃんの口の中に触れてみてくださいね。徐々に慣れさせていきましょう。
歯磨きをしているところを見せる
赤ちゃんが周囲を見渡したり、周りで起こっていることに興味を示すようになったら、歯磨きをしているところを赤ちゃんに見せてくださいね。ママやパパが毎日楽しそうに歯磨きをするところを見せることで、「歯磨き」=「家族が皆やっている」ということがインプットされ、その後歯ブラシで磨かれることへの抵抗も少なくなるそうです。
3. 乳児期後半~幼児期
いきなり歯ブラシを使うと「歯みがき嫌い」になることが多いそう。まずはガーゼ磨きなどから始め、歯の生えかたを見ながら徐々に歯ブラシに慣れさせるようにすると良いそうです。磨きかたとしては、親の膝の上に子どもを寝かせてみがく「寝かせみがき」が推奨されています。
乳前歯だけのころ
- 下の前歯
むし歯になりにくいところなので、ガーゼや綿棒で歯を拭ってあげると良いそうです。慣れてきたら徐々に歯ブラシで磨いてください。 - 上の前歯
唾液が届きにくいため、しっかり歯磨きをする必要があります。上の前歯4本が生えそろうころには、歯ブラシでのケアも始めましょう。また、上唇の裏側にある上唇小帯を歯ブラシで強く磨くと痛むため、それがきっかけで子どもが「歯みがき嫌い」になる可能性も。上唇小帯の上に指を乗せて、歯ブラシが当たらないように軽い力で細かく動かして磨いてくださいね。
乳臼歯が生えるころ
- 前歯
まず、左手の人差し指を横にして上唇小帯の上に乗せ、唇を持ち上げます。歯ブラシを歯に当て、横に短く震わせるようにして、少しずつ移動させるそうです。前歯の裏側も同じように磨いてくださいね。授乳中の子どもは特に虫歯になりやすい箇所でもあるので、卒乳までは丁寧にしっかりとケアしましょう。下の前歯はむし歯になりにくいので、最後に磨きましょう。 - 奥歯
奥歯はガーゼでは上手く磨けないので、歯ブラシを使いましょう。「第一乳臼歯」と「第二乳臼歯」の間は汚れが詰まりやすいため、糸ようじ(デンタルフロス)も併用すると良いそうです。
磨くタイミングについて
理想としては、毎食後とおやつの後に歯磨きをすると良いですが、育児や家事と忙しい中で時間をとるのは難しいですよね。そこで、就寝前に丁寧に歯磨きをする習慣をつけるのが良いそうです。睡眠時は虫歯に最もなりやすいため、むし歯予防に効果的となります。
朝食後や昼食後は、忙しさとの兼ね合いで歯磨きの度合いを決めると良いのだとか。
歯と歯の間のすきまについて
すき間がある子とない子がいるそうです。すきまがある場合は歯ブラシの毛先を使って歯間の汚れを落としましょう。すきまのない場合は糸楊枝(デンタルフロス)を使用する習慣を作ると良いそうです。
歯磨き粉について
いつでもどこでも磨けるようにするためにも、この時期は歯磨き粉を使用しなくて良いそうです。むしろ歯磨き粉を使うことで、飲み込んでしまったり、むせたりしてトラブルの原因になるのだとか。
注意すること
歯ブラシを口に入れるような遊びや、人形やぬいぐるみの口に歯ブラシを当てる「歯磨きごっこ」をすると、楽しく歯ブラシに慣れさせることができます。しかし、歯ブラシを口に入れたまま転倒すると、歯ブラシが口の中に突き刺さるなど重大な事故につながることも。子どもに歯ブラシを持たせるときは、必ず座った状態や親が支えているときにしましょう。
歯磨きの自立について
幼児期後半になると、子ども自身でもある程度まで磨けるようになります。まず子ども自身に磨かせてから、親が仕上げ磨きを行うと良いでしょう。親が磨く時の姿勢は、立った子どもの顎を、親が後ろから左手で支え、顔を少し上向きにして磨く「立たせ後ろみがき」が推奨されています。
この時期から徐々に、歯磨きの自立にむけた準備に取りかかります。歯磨きの自立は学童期になるまでにできれば良いので、習慣を身につける意味でも気長に、丁寧に歯磨きを進めていきましょう。
歯は一生もの。子どものころの歯磨きは、主に親の仕事となります。赤ちゃんのうちから口の中に触れることに慣れさせ、「歯磨きはみんながする習慣なんだよ」ということを見せておきましょう。ただし、歯ブラシを使わせるときは、親の監視の下で行ってくださいね。
子どもを歯磨き嫌いにさせないためにも、痛くないように丁寧に磨いてあげてください。ある程度自分で磨けるようになったお子さんには、最後に仕上げ磨きもしてあげてくださいね。
参考:
公益社団法人日本小児歯科学会「子どもの歯みがき」
子どもの歯の矯正をしてやれるのは、親の甲斐性?【光文社】
みんなの歯医者さんネット「乳歯が生えそろうのはいつ頃?」