夫婦円満の秘訣は「間取り」!? 家づくりのプロに聞いたリノベーションの深イイ話
夫婦のお悩み解決コラム相方のことは嫌いじゃないのに、なぜか最近お互いにギクシャクしている。怒ってばかりいて、ちょっとしたことでもイライラする──これ、実は住まいのせいかもしれないんです。
そう教えてくれたのは、ONOYA(オノヤ )で家づくりアドバイザーとして11年、700件以上の施工実績を持つ、まさに家づくりのプロ・鈴木文貴さん。
ONOYAは東北地方を中心に中古物件のリフォームなどを手がける会社。“リフォーム”“インテリア”“不動産”のシナジー効果で「住まいにもっと、あたらしさを」提供し続けています。
4月8日に、東京・新宿にあるWOODONE PLAZA(ウッドワンプラザ)で開催されたセミナー「『夫婦円満になる家とは?』〜50のリノベーション事例から最強のこだわりすまいを探求しよう〜」を聞いてきました。
住まいや間取りと夫婦円満――どんな関係があるのか、気になりませんか?
セミナーの流れ
- 夫婦円満で過ごせる住まいってどんなもの?
- 住まいを体感してみよう
- リノベーションの進め方体験
この記事でご紹介すること
家の中で小さなイライラを見つけてみよう
まず最初に鈴木さんから参加者に向けて出された質問が「家の中で、小さなストレスを感じたことはありませんか?」というもの。
突然の質問に、参加者一同「何かあったけど、何だっけ?」と考え込み、「間取りがおかしくて、生活動線が確保しづらい」「部屋がなかなか片付かない」や、中には「専用の仕事部屋がないため、子どもがそばに来るとついついかわいくて一緒に遊んでしまう」という羨ましい悩みも飛び出しました。
「本当はいろいろあるはずなのに、なかなか思い出せないですよね」と鈴木さん。その理由は、ストレスがとても小さいからなんだそうです。
でも、「大きいストレスなら気づきやすく改善につなげやすいけど、小さいストレスは気づきづらく、いつのまにかどんどん積み上がってしまい、生活の幸福感や充足感を押し下げてしまう原因になるんです。
心の中のもやもやが大きくなると、気持ちにゆとりがなくなってしまうんです」と鈴木さんは解説します。
では、どうすれば気づきにくい小さなストレスを減らしていけるでしょうか。
事例から読み解くストレスの少ない住まいづくり
家の中で生活していて、どんなときにストレスを感じるか、またそれをどのように解消したかを、実際にリノベーションした事例から読み解くことにします。
その事例とは
- 片付けが下手
- 広いはずなのに、狭苦しい
- 中古マンション買えば変わる?
というもの。
片付けが下手
「自分は片付けが下手だと思っている人、いらっしゃいますか?」という鈴木さんの質問に、ほぼ全員が挙手。みんなで顔を見合わせて笑ってしまいました。
でも、鈴木さんは「安心してください、9割は住まいが悪いからなんです!」と言います。ちょっとホッとしますね。
事例として挙げられたマンションの一室は、それほど狭いわけではないのにものが片付かず、ごちゃっとした印象。住人からは「どこに何があるかわからず、外出前も探しものに時間がかかる。片付かないから見た目がよくないし、人が呼べない」という悩みを解決してほしいと依頼されたそうです。
そこで、リノベーションでは収納場所を増やすだけでなく、物置部屋になっていたひと部屋を、本当の収納部屋に変身、リビング側と玄関側の両方からアクセスできるようにして、外出に必要なものをひとまとめに。ついでに、寝室からリビングへもふたつのウォークインクローゼットを経て通り抜けられるよう、間取りを変更しました。
「調理をしながら会話もできるし、もしちょっと喧嘩をしてしまったとしても、奥さんはダイニング側、旦那さんはリビング側などのように同じ空間にいつつ、お互いの居場所を確保することもできます」
お部屋が素敵になったため、お友だちを呼べるようになっただけでなく、夫婦そろって家で過ごす時間も長くなったとのことでした。
広いはずなのに、狭苦しい
次の事例は一軒家でした。夫婦2人暮らしのため、かなり広いはず。それなのに、ダイニングとリビングは狭苦しく、旦那さんは食卓につくために、毎度毎度大きなソファとダイニングの椅子の間を体を細くしながら通り抜けないといけない状態に。
対面型キッチンも、広さが確保されているはずなのに、暗くて狭い。「対面型」とは名ばかりで、小さな隙間では会話もままならなかったようです。
そんな小さなストレスもリノベーションで解決です。キッチン側の外にあった物置小屋スペースを住まいに組み込み、リビング・ダイニング・キッチンへと変身させました。
結果、スペースが広くなった以上の効果が。対面型キッチンの上部にあった壁を取り払うことで、開放感あふれる真の「対面型」になり、会話ができるようになり、明るさも取り戻せ、昼間は灯りをつける必要がなくなったそうです。
また、ビルトイン食洗機を導入することで流しの上で存在感を放っていた食洗機が消え、狭苦しさを解消。調理器具、調味料、食材などをすべて収納できるよう、反対側の壁一面に収納場所を確保。ゴミの一時置き場も備え、ゴチャゴチャ感がすっかりなくなっていました。
着席する際に、体を細くしないといけなかったようなダイニングとリビングはスペース的にきっちり分離。ここでも各自の居場所が確保できるようにしたそうです。
中古マンション買えば変わる?
わたしもそうなのですが、賃貸アパートに住んでいると、「マンションだったら、もっと収納場所があったりして住みやすいのになぁ」という妄想を持ちやすくなります。そして、ポストに入っているチラシで間取りを見てはさらにその妄想を膨らませ……。
でも、実際に住んでみると、小さなストレスを感じる場面があちこちに出てくるんだそうです。例えばリビングと和室を隔てるふすま、使わない和室の押入れ、カビを除去しきれていない洗面室やお風呂場など。
リノベーションでそれらの悩みがすべて解決し、購入直後からは想像もできないようなお部屋に生まれ変わった写真を鈴木さんが見せてくれました。
「中古で買って思いっきり自分好みにリノベーションする、というのも一つの手ですよね」とリノベーション業者の活用方法も教えてくれました。
夫婦がさらに仲良くなる住まいは“心地よい住まい”
リノベーション事例から見た、夫婦円満になるストレスの少ない住まいに必要なものは以下のとおりだそうです。
- よく使う場所を心地よくすること
- リビングで違うことができること
- ものが片付くこと
それぞれについて鈴木さんが解説します。
「全部片付いていなくてもいいんです。普段生活しているところの使いやすさ、見た目を良くして心地よくしましょう。それだけでテンションが上り、幸福度が増すんです。
また、たとえ仲の良い夫婦でも喧嘩することはあります。『顔を合わせるのが気まずい』と感じたときに“別室”で過ごすのはこじらせる原因に。同じ空間でありつつ、それぞれの居場所を確保できるようにするのが、夫婦円満の秘訣なんです。
最後に、ものが出しっぱなしになっておらずあるべきところにある……片付いている状態はストレスを軽減させます。
人は、手に持っているものを腰ぐらいの高さの場所に置いてしまう習性があります。なので、その高さに収納場所を作りましょう。自然とそこに置くようにすればものは片付きますし、探すストレスもなくなります。あまり使わないものもしまえるよう、部屋の高さを利用するのも一つの手ですよ。
よく、夫婦仲が悪くなるのは、『時間が経てば仕方ない』とか『性格の相違が出てきたんだね』などと言いますが、ほとんどはふたりで生活している家の中の小さなストレスのせい。心地よい住まいはストレスを減らしてくれ、それが夫婦円満につながるんです」
リノベーションで組み込めるキッチンやダイニングを体感!
お話をひととおり聞いてから、WOODONE PLAZAに展示されているキッチンやダイニングまわりを見せてもらいました。
いつもなら「スタッフに声をかけられたらどうしよう」「アンケート取られちゃったり、なんか勧められちゃったりしないかな」と心配で、見に行ったり、ましてや靴を脱いでその中に入ることなどできない小心者のわたし。ですが、今回は「住まいの体感」もセミナーの一部とのことで、安心してあちこち入ったり触ったりできました。
驚いたのは、キッチンまわりの機能がかなりアップしていること。三口コンロや、魚焼きグリルのいらない人向け四口コンロ、ふたり暮らしにちょうどいい大きさのビルトイン食洗機、「こんなところまで収納できるの?」と宝探し気分で開きたくなるシンク下の収納用引き出しなど。
「“見せる収納”では、収納力が少ないのでは?」と考えていたのですが、設置されている棚に見て触れることで、全くそんな心配がいらないことも体感できました。
最新設備にどんなものがあるのか知らなければ、お悩み解決の手段として頭に浮かべることも、ましてやリノベーションするときに「組み込んでほしい」とお願いすることもできません。
どんな分野でも情報を収集すること、できれば実物を見ながら詳しい人(スタッフ)から説明を聞くのは重要なんだなぁと実感させられました。
新築マンションを買うより、中古マンション×リノベーションのほうがいいかも!?
快適な住まいが夫婦円満の秘訣であるということに納得できましたが、小さなストレスを解消するためにお金のストレスは抱えたくありませんよね。
セミナーの最後は、お茶を飲みながら費用のお話です。ここでは、不動産検索アプリを使って条件に合った中古マンションを探し、そのマンション購入費用にリノベーション費用をプラスすると毎月いくら支払えばよいかということを簡単な計算でシミュレートしていきます。
ONOYAでは、リノベーションの大まかな費用をたった30秒で計算できる「ラクリノ」サービスを提供。部屋の広さに、テイスト、間取りなどを設定するだけで、リノベーションにいくらかかるのかの大体の見積もりがオンラインでできるんです。
月々の支払額がわかれば、それが可能かどうか、もっと物件の条件を緩めるべきかどうかが見えてきます。
「もしかして、最新設備のそろった新築マンションを買うより、中古×リノベーションのほうが快適かも?」という疑問が出てきたので、鈴木さんに聞いてみました。
その答えは、「コンシェルジュサービスや宅配ボックス、オートロックなど、設備面でのメリットを選ぶなら新築を。それらを重視しないのであれば、中古×リノベーションのほうがストレスなく暮らせるでしょう。ガクッと価格の下がった築21〜25年のものであれば、リノベーション費用を足しても、新築の7掛けほどで手に入りますよ」と鈴木さんは解説してくれました。
住まいを心地よい空間にすることで、小さなストレスが積み重なるのを防げ、それが充足感、幸福感につながり、ひいては夫婦円満にもつながる――とても説得力のあるセミナーでした。
今すぐに中古マンションを買ったり、リノベーションをお願いできたりするわけではないけれど、普段いる部屋を片付けるなど少しでも心地よい空間にすることはできそう。できるところからコツコツと取り組んで、いつまでも仲の良い夫婦でいたいものですね。