セックスレスで離婚したいと思うのはダメですか? 離婚は成立するのか
夫婦のお悩み解決コラム皆さんは「夜の夫婦生活」について、満足していますか? 性生活はデリケートな問題の分、悩みを抱えたまま過ごしているかたも多いのではないでしょうか。「忙しくてなかなか」「あまり好きじゃない」「私はしたいけど相手が……」など、さまざまな意見があると思います。
今回はセックスレスの原因や、相手が拒否する理由について考えてみたいと思います。セックスレスが原因で離婚に発展する場合などもまとめたので、今悩んでいるかたはぜひ参考にしてくださいね。
この記事でご紹介すること
セックスレスの定義
皆さんはセックスレスの定義をご存知でしょうか?日本性科学会によるとセックスレスとは「病気など特別な事情がないのに、1ヶ月以上性交渉がないカップル」ということだそうです。
お互いにセックスを望んでいなくても円満な家庭を築いているなら問題はなさそうですが、夫婦どちらかがセックスを望んでいるのに拒否され続ける場合は、夫婦関係の深刻な問題となります。
1ヶ月と聞くと意外に短く思えるかもしれません。しかし性欲は「食欲」「睡眠欲」「性欲」といった3大欲求のひとつですから、拒否をされ続けている人にとってはそれは非常に長い期間に感じられるでしょう。
セックスレスの原因
セックスレスの原因は人それぞれですが、思いつく主要なものは以下のとおりです。
- 子供が産まれて時間がない
- 相手に性的な魅力を感じなくなった
- 疲れている、面倒くさい
- 性機能が衰えてきた
- 浮気、不倫をしている
それでは妻側・夫側として拒否する理由にはどんなものがあるのでしょうか。
妻が拒否する理由
特に女性側に多い理由が、生理や妊娠出産などによるホルモンバランスの乱れ。特に産後は「産後レス」と言う言葉があるように、そんな気分になれないことも。また家事や育児を一切手伝わない夫に不満を持っているパターンも考えられます。離婚を考えている人も中にはいるかもしれません。
夫が拒否する理由
歳を重ねることで妻が太ったり所帯染みてしまい、女性としての魅力を感じなくなったり、仕事の疲れやストレスでセックスどころではなかったり。また男性の性機能が衰えて、昔のようにできない、それが言い出せない……なども考えられます。「離婚」となる前に、原因や理由を見つけ出す必要がありそうです。
もしかしてセックスレス?チェックリスト
簡易的なセックスレスのチェックリストを作ってみました。半分以上当てはまると注意が必要かもしれません。
- 理由がなく1ヶ月以上セックスをしていない
- パートナーにときめかない
- 普段からスキンシップが少ない
- 数回セックスを断った(断られた)ことがある
- 裸を見ても何も思わない
- 異性だと意識しない
- 他の異性とはしたいと思う
セックスレスで離婚は成立するのか
自分はしたいのに、相手が拒否をする……そんなセックスレスが続くと、夫婦生活が苦痛になってしまい、離婚の二文字がよぎる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そもそも離婚が成立するに、両者の同意とは別に民法第770条の定める離婚条件が5つあげられます。それが下記の5つになります。
- ①不貞行為
- ②悪意の遺棄
- ③配偶者の生死が3年以上不明
- ④配偶者が回復の見込みのない強度な精神病にかかった
- ⑤その他婚姻を継続し難い重大な事由
そしてセックスレスを理由に離婚できるかどうかですが、この5つの条件から言うと⑤の「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に当てはまる可能性があります。その中で離婚できるケースをご紹介します。
セックスレスで離婚ができるケース
- 理由なくセックスを拒否され続けた
- 1年以上など長期間セックスレス
上記のことが原因で夫婦関係が破綻していると、離婚が認められることが多いようです。ただ、その他理由などもあると思うのでケースバイケースですし、セックスレスはプライベートな問題なので、証拠が重要となってきます。
セックスレスを証明するには
セックスレスを証明するのには証拠が必要です。言った・言わないとならないように、どんな些細なことでも証拠を残しておきましょう。
- セックスする時間がある証明
セックスレスになる前とセックスレスになってからの生活状況(何時に帰宅、何時に就寝など)を書いておくと、セックスができたのに相手が応じてくれなかったことが主張できます。 - セックスのお誘いと、断られたときの言葉のメモ
お誘いをメールでやりとりした場合は保存しておいたり、酷い拒否のされかたをしたときはその状況と言葉をメモ・録音しておきましょう。 - 日記
セックスレスの期間を証明するのに日記が分かりやすくて良いです。日記は毎日付けておくと安心です。
慰謝料を請求することができるのか
セックスレスで慰謝料請求ができるのかというと、これもケースバイケースとなります。ただ、相手が一方的にセックスを拒んでいる場合だと、慰謝料を請求できるケースが多いようです。ただし、前述したとおり証拠が重要です。
慰謝料の相場
過去の判例等を見てみると、慰謝料は数十万~100万円程度のようです。300万円など高額な慰謝料になるのは以下のような場合です。
- 相手が不貞相手とは性交渉している
- 長い期間セックスレス
- セックスレスを改善しようとしない
- 支払う側の収入や社会的地位が高い
- 未成年の子どもあり
セックスだけが愛情表現か
セックスはあくまでも愛情表現のひとつ。パートナーに対する思いやりの気持ちを行動・言葉で表すことができれば、セックスがなくとも円満な結婚生活を続けられるのではないでしょうか。
子どもが生まれた・仕事が忙しくなったなど、さまざまな理由で夜の夫婦生活から遠ざかっている場合もあるでしょうから、まずは夫婦でその理由をきちんと説明して、セックス以外で愛情表現ができたらよいですね。
特に夫婦生活の問題に関しては二人だけでは解決が難しい場合もあるので、夫婦相談の専門家によるカウンセラーで夫婦一緒に相談してみるのも一つの手かもしれません。詳しくはセックスレスにカウンセリングは効果がある?も読んでみてください。
そして、もしも耐えられないと思ったときは、少しずつその証拠を集めるようにしたり、弁護士の無料相談会などに参加してみるのも手かもしれません。今の夫婦関係が改善するとよいですね。
参考:
民法第770条