おしゃぶりいつから? 何歳まで使っていいの? デメリットは?
夫婦のお悩み解決コラム最近は、可愛いおしゃぶりがたくさん市販されています。つい目移りしてしまいますが、そもそもおしゃぶりってなんのためにあるのか、いつから使えばいいのかご存じですか? 今回は、意外ときちんと知られていないおしゃぶりの効果やデメリットを解説します。使い方のポイントをおさえて、おしゃぶり選びにも役立ててください。
この記事でご紹介すること
おしゃぶりってどんな効果があるの?
おしゃぶりとは、育児用品の一つ。赤ちゃんの口にくわえさせて使用します。おしゃぶりを使うことの最大の効果は、ぐずっている赤ちゃんを即座に泣き止ませたり、静かにさせたりすることができる点にあります。なかなか寝付けない時に使用すると、入眠をスムーズにすることもできます。赤ちゃんのご機嫌をとることができる理由としては、乳首に似た形をしていることから、赤ちゃんに対してリラックス効果を与えることができるからと考えられています。
赤ちゃんは、指しゃぶりをすることがありますが、おしゃぶりを与えることで指しゃぶりをやめさせる効果もあります。指を含め、乳首に似たものをしゃぶるろうとするのは赤ちゃんにとって本能的な行動です。ところが、指しゃぶりすることで指に付着した雑菌が体内に入り、感染症を患うことがあるとされているのです。おしゃぶりは感染症のリスクを軽減するのに効果的ということになります。
おしゃぶりは赤ちゃんの鼻呼吸を助ける効果も期待できます。おしゃぶりを使うと強制的に口がふさがれ、結果的に鼻呼吸が促されることになります。実は口呼吸には危険が伴うとされています。例えば、口のなかが乾燥することで唇がカサカサになってしまったり、喘息やアレルギーの原因の一つともいわれています。おしゃぶりは、赤ちゃんに鼻呼吸をさせるのにうってつけのアイテムなのです。
そのほか、乳首以外のものに慣れることで、食べる練習になったり、突然死のリスクを減らしたりする効果があることもわかっています。
おしゃぶりはいつから使う?
おしゃぶりはいつから使うのがよいのでしょうか? おしゃぶりは生後すぐにでも使うことができますが、後述する通り、すぐに与えてしまうのにはリスクが伴います。母乳で育てるのであれば、生後2ヶ月程度してからがよいでしょう。また、ミルクで育てるのであれば、生後1ヶ月頃に始めてもよいかもしれません。
ただし、必ず月齢に合ったものを選ぶようにしてください。おしゃぶりが大きすぎたり重すぎたりすると、赤ちゃんに負担を与えてしまいます。アゴや吸う力に合ったものを選ぶことはとても大切です。
また、赤ちゃんがおしゃぶりを嫌がるような素振りを見せたら、無理に使おうとせず、日をおいてから再度試してみるとよいでしょう。
おしゃぶりはどういう時に使うのがベスト?
いろんな効果が期待できるおしゃぶりですが、赤ちゃんに四六時中与えておけばよいかというと決してそんなことはありません。あとで詳しく述べるように、おしゃぶりを使うことにはネガティブな側面もあり、いつからいつまでと限定して効果的な使い方をすることが求められます。上手な使い方について解説します。
ぐずってどうしようもない時
赤ちゃんのご機嫌が良くないと、抱っこしてもあやしてもぐずりが収まらず、何をしても泣きやんでくれないものです。そんな時は赤ちゃんが不安になっているという合図。おしゃぶりには赤ちゃんの不安を和らげる効果が期待できます。おしゃぶりを与えて、気持ちを落ち着かせてあげましょう。
寝かしつけたい時
ご機嫌が悪い時は、夜なかなか眠ってくれないこともしばしば。そんな時にもおしゃぶりは効果を発揮し、赤ちゃんのスムーズな入眠を誘います。
どうしても静かにしていて欲しい時
公共の場にいるときなど、今、赤ちゃんに泣かれたら困るなというシーンは少なくないはずです。慣れない場所に行くと、赤ちゃんの不安を誘ってしまうため、ここぞというときほどぐずってしまいがち。そんなときも、おしゃぶりを与えるとすぐに泣きやんでくれます。
乳児突然死症候群の防止に
おもに1歳未満の赤ちゃんに、まったくの前兆なく突然死がもたらされることがごく稀にあります。「乳幼児突然死症候群(Sudden Unexpected Infant Death)」と呼ばれ、平成28年には109人が亡くなりました。前項でも少し触れましたが、おしゃぶりには「乳幼児突然死症候群」の発症を抑える効果があるといわれています。少ないように見えますが、赤ちゃんの死亡原因としては第3位。決して油断できない病気です。ただし、生後すぐに使用すると、乳頭混乱といって母乳を飲むのを嫌がる場合があります。いつから使用するのが適切かというと、生後2ヶ月程度からが妥当です。
おしゃぶりを使うデメリットもある?
育児をサポートするだけでなく、赤ちゃんの発育を助けたり、突然死のリスクを軽減したり、おしゃぶりにはメリットがたくさんあります。ところが、おしゃぶりを使うことで赤ちゃんにとってマイナスの効果が生じることがあるので注意が必要です。
赤ちゃんにとって母乳育児することがいろんな点で良いことが知られていますが、おしゃぶりを使うことで、母乳育児が短くなる傾向が指摘されています。母乳にしても、おしゃぶりにしても、「吸う」ことに変わりはありませんが、おしゃぶりに慣れることで、母乳を吸うのには適さないリズムを覚えてしまうためだと考えられています。
また、おしゃぶりが赤ちゃんの歯並びを悪くすることもわかっています。日本小児歯科学会は、おしゃぶりを使っている赤ちゃんは、おしゃぶりを使っていない赤ちゃんに比べて、噛み合わせが良くないケースが高い頻度で見られると報告しています。
おしゃぶりは赤ちゃんをリラックスさせるのに効果的な反面、いつからいつまでと使用期間を決めずに濫用することで、かえって逆効果になってしまうことも。例えば、おしゃぶりがないと不安になって泣き出してしまったり、おしゃぶりがないと寝られなかったりといったケースは少なくありません。
おしゃぶりを使っているとき、赤ちゃんは例外なく口を閉ざすことになります。そのため、両親とのコミュニケーションを阻んでしまう原因になると指摘されています。わかりやすい例を挙げると、ちょうどしゃべり始める時期に、すぐに静かになるからといっておしゃぶりを与えてしまえば、その分だけ赤ちゃんとお話しする機会がなくなることに。おしゃぶりを使うことで、かけがえのない時間が失われてしまう可能性があるのです。
いつからいつまで使うかを見極めてデメリットを防ごう
おしゃぶりを使うことのデメリットのいくつかは、おしゃぶりの選び方によって解消することができます。例えば、噛み合わせが悪くなるデメリットに関しては、噛み合わせをサポートする機能のあるおしゃぶりを利用することでカバーできます。おしゃぶりをしっかり噛ませて口を閉じさせるタイプなど、赤ちゃんの歯ならび形成やアゴの正常な発達を支える工夫がされたものを選ぶとよいでしょう。
おしゃぶりを長く使わないように心がけることも大切です。上でも解説した通り、おしゃぶりを使うベストな時とは、あやしても何をしても泣きやんでくれない時や、眠ってくれない時、また、人が大勢いる場所で泣いてしまう時などです。できるだけご機嫌が悪い原因を探りながら対応し、必要なときにピンポイントで使うようにするとよいでしょう。そうすることで、おしゃぶりが手放せなくなる状態やコミュニケーションの機会を失ってしまうような事態を回避することができますよ。
まとめ
おしゃぶりは、新生児から使って良いのですが、商品スペックに適正年齢が明記されているので購入前にはきちんとチェックしましょう。使い続けると悪影響も出てきますので注意が必要です。卒業時期を決めておいて、安全・快適に使用しましょう。
参考:
オムロン 『実は危険な口呼吸』
日本経済新聞朝刊(2012/1/11) 『花粉症に強い体に ポイントは口呼吸』
厚生労働省 『乳幼児突然死症候群(SIDS)について』