要介護認定を受けるための申請方法とは? 認定を受けるために必要なこと

夫婦のお悩み解決コラム

現在の法律では40歳以上の人はみな介護保険への加入が義務付けられていますが、介護保険に入っていれば誰でもすぐに介護保険が適用されるというわけではありません。

介護保険を適用して介護サービスを受けるためには、まず自治体の審査を通過して要介護認定や要支援認定を受ける必要があります。身近な人が実際に要介護状態になってから慌てないよう、要介護認定に関する知識を早めにつけておきましょう。

 

要介護認定を受けるために必要なこと

平成27年4月現在の要介護(要支援)認定者数は約608万人、平成26年度の要介護認定新規申請件数は約187万件となっています。要介護認定者数は年々増加しており、特に近年は比較的軽度の認定者数が大きく増えています。

要介護認定されれば介護保険が適用されますが、このことは国の負担増加にもつながります。そのため申請すれば誰でも認定されるわけではなく、まずは日常的な介護や生活支援が必要かどうか審査を受けなければなりません。

 

そもそも要介護認定とは

ある人が寝たきり・認知症などで常に介護が必要な状態であると判断されると、要介護認定がされて介護サービスに介護保険を適用できるようになります。また、介護がなくても生活できるが身の回りの世話などに支援が必要と判断された場合は、要支援認定がされて公的介護保険サービスを受けることができます。要介護(要支援)認定は介護保険給付額と深く関わるため、認定基準は全国で統一されています。

ひとくちに要介護状態といっても、どのような介護がどれくらい必要かはその人によって異なります。そのため申請後に審査を行い、本人が要介護状態にあると認められれば認定がおります。要介護認定基準は必要な介護内容に応じて5段階に、要支援認定は2段階に分類されています。

新しく介護が必要になった場合は新規申請を行い、以降は定期的に更新申請を行います。病状が変化して必要な介護の内容が変わったら、区分変更申請を行います。

 

要介護認定はどのように行われる?

認定を客観的かつ公平に行うため、コンピュータの判定や専門家の話し合いなどによって2段階の審査が行われます。

病気の重さと要介護度の高さは、必ずしも一致するとは限りません。例えば頻繁に徘徊して介護者の負担が大きかった認知症患者が寝たきりになった場合、病状は進んでいるものの介護にかかる手間はそれほど増えないと見なされて要介護度が変わらない場合があります。

 

要介護認定を受けるメリット・デメリット

要介護認定を受けると、次のようなメリット・デメリットが生まれます。

メリット

要介護認定されると要介護度に応じて介護保険が適用され、以下のような介護サービスを受けることができます。

  • 居宅サービス…自宅にいながら受けられる介護サービス。訪問介護や通所介護(デイサービスなど)、ショートステイ、福祉用具レンタルサービスなども居宅サービスに含まれる。
  • 施設サービス…本人が介護施設に長期滞在して介護を受ける。介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)・介護老人保健施設などが施設サービスに相当する。
  • 地域密着型サービス…住み慣れた環境で、地域の人と交流しながら受けられる介護サービス。地域密着型の小規模なグループホームや24時間対応可能な定期巡回サービス、認知症の高齢者に特化したケアなど、さまざまなサービスがある。

要支援認定された場合も要介護認定より金額は低いものの介護保険が適用され、上記の介護サービスのうち要支援認定者向けのサービスを受けることができます。自立(非該当)と判定された場合は介護保険が適用されませんが、地域の保健福祉サービスなどを使うことは可能です。地域のサービスを使うことで、要介護・要支援状態になるリスクを下げるのに役立ちます。

 

デメリット

本人が認知症だったり介護にマイナスイメージを持っていたりすると、要介護認定を受けることを嫌がるケースがあります。もし要介護認定を受けても、本人が介護を受けることに納得していなければ思わぬトラブルに発展するかもしれません。家族が説得してもどうしても聞き入れてもらえなければ、本人のことをよく知っているケアマネジャーなどに相談してみましょう。

区分変更によるデメリットとして、同じ介護サービスでも要介護度が高いと利用料が高くなりやすいことが挙げられます。いくら要介護度が高くても介護保険適用額には限りがあり、上限額を超えた分は自己負担となってしまいます。そのため、区分変更すること自己負担が増えるケースもあります。

 

要介護認定の流れ

要介護認定を受けたい場合は、まずお住まいの自治体窓口に申請書を提出します。窓口に行くときは、介護保険被保険者証(65歳未満の人は健康保険被保険者証)・マイナンバーカード(なければマイナンバー通知書と顔写真入り身分証明証)も持参しましょう。本人が申請書を提出できない場合は家族が代理で申請しますが、家族の都合がつかなければケアマネジャーなどに申請を依頼することもできます。

申請から認定結果の通知までにかかる日数は、およそ30日前後です。介護認定には有効期限があり、期限が切れると介護保険を使えなくなります。更新する場合は、期限が切れる前に早めに申請しましょう。

心身の状況調査(認定調査)

申請が済むと自治体の職員や委託を受けたケアマネジャーなどが調査員として自宅を訪問し、本人の心身の状況や家庭環境などを確認します。調査員は概況(現在利用しているサービスの状況、家庭環境、病気、既往症など)と以下に紹介する全74項目の基本調査項目、さらに本人の具体的な状況を記録するための特記事項などをチェックします。

【基本調査項目のおもな内容】

  • 身体機能・起居動作(立つ・座る・寝返りなどの日常動作、視力・聴力の程度など)
  • 生活機能(食事、排泄、着替え、外出など)
  • 認知機能(意思伝達、自分の名前や生年月日が言えるか、短期記憶の程度など)
  • 認知症に伴う精神・行動障害(情緒不安定や物とられ妄想、昼夜逆転などの有無)
  • 社会生活への適応(服薬管理、金銭管理、集団生活、買い物など)
  • 過去14日間に受けた特別な治療(点滴管理・透析など)

主治医による意見書

介護の必要性を医学的観点から判断するため、本人の状態をよく知る主治医に意見書を書いてもらいます。申請書に記入した主治医に自治体から直接意見書の作成依頼が届くので、申請者側から主治医に対して作成を依頼する必要はありません。

主治医がいない場合は、自治体や地域包括支援センターなどで紹介された医師の診察を受ける必要があります。その際は事前に意見書を書いてもらいたい旨を医師に伝え、指示に従いましょう。

コンピュータ判定(一次判定)

心身の状況調査と主治医による意見書をもとに、コンピュータで一次判定を行います。一次判定では介護認定に必要な基準時間を計算し、現状維持・改善できる可能性の高さを評価します。

一次判定ソフトでは認定調査項目ごとに選択肢を設けて対象者を分類していき、対象者にどれだけ介護が必要かを判定します。例えば食事の摂取に介助が必要だが嚥下は可能、生活機能はやや低下しているが認知機能はある程度保たれている場合は、食事に45.4分の介護を要すると判定されます。このように介護に要する時間を項目ごとに算出し、それらの合計によって要介護度を大まかに決定します。

介護認定審査会による審査(二次判定)

一次判定の結果と訪問調査票の特記事項、そして主治医による意見書の内容をもとに、医療・福祉・保健の学識経験者によって二次判定が行われます。二次判定で最終的な要介護度が決定され、申請者に通知されます。

 

要介護認定の結果に納得できない場合

調査員や主治医が、必ずしも申請者が希望する通りに審査・診断してくれるとは限りません。また、調査訪問の日にたまたま本人の調子が良くいつもよりしっかり受け答えできることもあります。そのため、希望通りの要介護認定がされない場合があります。

認定結果に納得できない場合は、自治体の介護保険審査会に対して審査請求をすることができます。審査請求が正当と認められれば認定が取り消されるので、その後改めて介護申請を行います。通知を受け取った翌日から数えて60日以内に審査請求書を作成し、必要書類を添えて提出しましょう。

審査請求の他に、区分変更申請によって改めて審査・判定してもらう方法もあります。区分変更申請は本来認定の有効期間中に病状が変化した場合に行いますが、認定結果に納得できないという理由で区分申請する人も多いようです。

 

介護認定を受ける際の心構え

介護保険を利用して介護サービスを受けるためには、まず要介護認定や要支援認定を受けなければなりません。訪問調査や一次審査・二次審査の結果介護が必要であると認められれば、状況に応じて要介護認定を受けられます。

訪問調査には介護を受ける本人だけでなく必ず家族が立ち会い、普段の様子をありのままに伝えましょう。本人がひとりで調査員に対応すると、思い込みやプライドなどによって事実と異なる発言をすることがあります。もし気になることや困っていることがあれば、遠慮しないでなるべく具体的に調査員に伝えましょう。

 

参考:
厚生労働省 「要介護認定の仕組みと手順」「要介護認定に係る制度の概要」「要介護認定はどのように行われるか」
東京都福祉保健局「介護保険に関する審査請求(不服申立て)のご案内」

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