もしかして介護疲れ? 介護が辛くなるまえに知っておきたいこと

夫婦のお悩み解決コラム

介護って大変です。介護によって疲れた人が親を殺すというような事件も、しばしばニュースで取り上げられています。事件にはならなくても、介護疲れからうつ病など精神的に追い詰められる人が多いことも問題です。介護には費用もかかります。平均すると1人を介護するために月額6万9千円が必要です。精神的な問題と金銭面を、行政のサービスを利用することでクリアしていきましょう。

介護疲れの原因

内閣府が発表している「平成29年版高齢社会白書」によると、2012年時点で65歳以上の7人に1人が認知症です。2025年には約5人に1人の割合で認知症になると予想されています。また、平均寿命の伸びに比べて、健康寿命の伸びが小さいという結果も出ています。平均寿命が伸びても、健康ではない状態が長くなるということですね。つまり、年々介護が必要な人が増えて行くだろうと予想されているのです。

2017年に初めて、90歳以上の人口が200万人を超えました。90歳以上の方の子どもは、60歳以上になってもなお介護を続けなければなりません。場合によっては複数の介護をしなくてはいけない人もいるでしょう。

施設で働いている人にも介護疲れがあるといわれるくらい、老人介護は大変です。それにもかかわらず、介護サービスなどを利用せず、1人で介護している人が多いことも、介護疲れになる原因です。

介護疲れが原因で起こった事件

介護疲れが原因で、ひどい場合は親を殺害してしまうという事件もニュースで見かけます。
元アイドル歌手だった人が介護に疲れ、お母さんのそばで自殺をはかったニュースを覚えている方も多いのではないでしょうか。
また、41歳の女性が認知症の実母を殺害した別の事件は、彼女が1人で介護をしていたために起こったものでした。家族が、介護サービスを利用することに反対していたということです。

 

介護疲れの症状とは?

介護をしていて、次のような症状が起きたら介護疲れかもしれません。このような症状がある場合はできるだけ休んだり、気晴らしをしたりしましょう。それでも解決できないときは、カウンセラーなどの相談してみましょう。

  • とにかくイライラする
  • 憂鬱な気持ちが続く
  • 疲労感や眠気がある
  • 意味もなく怒りが爆発するときがある。人に対して攻撃的になる。
  • 人と会うことや出かけることが億劫になる
  • 自分の好みに変化
  • 自分がつまらない存在だと感じる。悲しい気持ちになる。
  • 仕事の集中力がなくなる
  • 物忘れがひどい
  • 好きなことをするときにも集中力がない、楽しくない(本が読めない、編み物ができないなど)
  • 不眠症。なかなか眠れず、夜中に何度も目覚める。
  • 朝起きた時に体全体にだるさを感じる
  • 食べる気がしない、反対に過食をしてしまう
  • 髪を洗うのが億劫に感じる
  • 下痢を頻繁にする、動機やめまいを感じるなど、なんとなく体調が悪い

認知症になりかけの頃は、攻撃的になる人もいます。ちょっとしたことでも文句を言ったり、相手をなじったりするので、心が痛むことも多いのです。

介護をするというのは、肉体的な世話をする行為だけではなく、被介護者の精神的な問題を受け入れることでもあります。特に血の繋がりのある人の世話をする場合、気持ちがかなり落ち込むことになるので、気晴らしが必要です。

 

介護うつの症状とは?

うつ病は、憂うつになり、食欲不振、不眠、性欲低下などが起きる心の病です。それだけではなく、吐き気や下痢などの肉体的な症状も現れる場合もあります。

うつ病は、真面目で義務感が強い人や完璧主義で几帳面な人、常に周りの人への配慮を忘れない人に発症しがちです。介護が原因のうつ病を特に「介護うつ」と呼んでいます。介護疲れが重なるとうつ病になりやすいので、休憩できる環境づくりが大切です。

介護うつの可能性があるかどうか、下のチェックリストを見てください。当てはまることがある方は、うつ病になりかけているのかもしれません。

  • 寝付くのに30分以上かかることがよくある
  • 毎晩のように目が覚めてその後眠れなくなる
  • 起きるつもりの時間より1時間以上早く目が覚めてしまう
  • 眠っても眠っても眠くてしょうがない。1日12時間以上眠っている
  • 悲しい気持ちになる
  • 食欲がない。ほとんど食べないが、たまに人が強く勧めたときにだけ食べる
  • いつも食べたくてしょうがない。食べすぎて気持ち悪くなることもしょっちゅう
  • 体重が急激に増えたり、減ったりした
  • 集中力の低下。細かい仕事ができない、複雑な文章が読めないなど
  • 自分がつまらない人間に思えてしょうがない
  • 死や自殺について常に考えており、頭から離れない
  • 以前は興味のあったことに興味が持てない。趣味など全くない
  • しなくてはいけないことが山積みされているが、やる気がしない
  • 頭の回転が鈍くなったようで、質問されてもすぐには答えられない
  • そわそわした気分になり、じっと座っていることが苦痛になり、いきなり歩き回ってしまうことがある

 

介護疲れの対処法と考え方

介護は家族全員で関わっていくべき問題です。本人の意向も尊重しなくてはいけません。そのため、親と兄弟全員でしっかり話し合う必要があります。
特にお金の問題は重要です。介護疲れにならないためにも、介護サービスを利用する必要がありますが、そのための出費はどうするのかということも、前もって話し合っておきましょう。

介護を仕事と両立させるには

介護疲れから事件を起こした人の事例を見ると、介護のために仕事を辞めたことで、経済的に困った状態になった場合がほとんどです。介護は、お金で解決できる部分もあります。

また、一人で老人と向き合いすぎることが、精神的にも追い詰めらる原因です。介護休業などの法律で定められた制度のほか、企業によっては法律を上回る「仕事と介護の両立支援制度」を定めているところもあるので、職場に問い合わせてみましょう。

自分一人だけで介護をしないこと

介護をするにあたって、ケアマネージャーに相談することは必須です。介護が大変になってからではなく、まだ余裕のあるうちにケアマネージャーとコミュニケーションをとってください。

ケアマネージャーは、多くの事例を見ていますから、具体的なアドバイスをしてもらえます。金銭的なことも、どのくらいまでなら支払えるかを言えば、民間サービスも含めて使えるサービスを教えてもらえます。

ケアマネージャーだけではなく、近所の人や家族ともコミュニケーションをとって、1人で頑張りすぎないようにしましょう。

【ケアマネージャーとは】

ケアマネージャーとは、福祉関係、または医療関係の実務経験が5年以上ある人だけが取得できる公的資格です。一般的には、ケアマネージャーと呼ばれていますが、「介護支援専門員」というのが正式名で、適切なケアができるようにコーディネートをしてくれます。

国や行政、会社の制度を利用する

国や行政のサービスには次のようなものがあります。

●介護される人が利用できる制度

  • 訪問介護
    ホームヘルパーなどが、自宅まできて、入浴・排せつ・食事などを手伝ったり、家事をしたりしてくれるサービスです。
  • デイサービス
    デイサービスは通所介護とも呼ばれ、専門施設に行って介護をしてもらえます。送迎もサービスに含まれ、食事や踊りなどのレクリエーションなどを楽しんで半日過ごします。介護者が介護から解放されるだけではなく、被介護者も友達を作れ、息抜きになるというのもメリットです。
  • 宿泊サービス
    病気になったとき、結婚式などで家を離れなくてはならないときに、被介護者が専門施設に宿泊できるサービスです。必要になったときに問い合わせるのではなく、いつでも使えるように、おおよその利用方法を知っておくと安心です。

これらは介護保険で利用できるサービスの一例です。他にも介護保険適用外のサービス含め、さまざまな介護サービスが存在します。こちらの記事で詳しく紹介していますので、参考にしてください。

>【保存版】介護サービスの種類と料金一覧表! 各サービスの特徴と選び方

●介護する人が利用できる制度

  • 介護休暇など

被介護者が急に病気になった場合など、介護休業または介護休暇を取れます。介護休暇は1年に5日(介護対象が複数の場合10日)、介護休業は93日を3回に分けて取れる休暇です。介護休業は2週間前に申請が必要ですが、介護休暇は当日電話で申請しても問題ありません。

介護休業給付金を申請すれば、給料の67%が最長3ヵ月間支給されます。

そのほか所定労働時間の短縮や所定外労働の免除などの特別措置もあるはずです。職場に問い合わせてみましょう。

 

介護疲れにならないように

介護疲れになると、肉体的な問題だけではなく、精神的な問題も起こる可能性があります。介護の負担が原因で、うつ病になってしまう場合も多いのです。自分1人で抱え込まずに、自治体や民間のサービスを上手に利用したり、家族や近所の人の協力を得たりしながら介護を続けていきましょう。利用できるサービスがあるかどうか、ケアマネジャーに相談するのもおすすめです。

 

参考:
在宅介護のお金と負担
介護に疲れ67歳の母を絞殺した41歳娘の告白 | 家族の法廷から | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準
90歳以上が初の200万人超、高齢化一段と 総務省推計: 日本経済新聞
統計局ホームページ/平成29年/統計トピックスNo.103 統計からみた我が国の高齢者(65歳以上)-「敬老の日」にちなんで-/1.高齢者の人口
中災防 労働者の疲労蓄積度自己診断チェックリスト
厚生労働省 仕事と介護両立のポイント
Q&A~介護休業給付~
ケアマネジャーとは? | 資格試験対策書 | 中央法規出版
3 高齢者の健康・福祉|平成29年版高齢社会白書(全体版) – 内閣府
厚生労働省鬱病チェックシート
国立研究法人森林研究開発機構 介護のためのガイドブック
働く女性における介護ストレスに関する研究・開発、普及

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