親の介護のためのお金がない場合はどうすれば良い? 介護費用の節約術

夫婦のお悩み解決コラム

親が高齢になり、突然の介護が始まったという経験をする人は多くいます。突然の病気や事故が原因で、今日から介護が必要になるケースもあります。

しかし、突然始まる介護のために、十分なお金を蓄えている人は少ないものです。介護費用で困った時にはどこに相談にいき、どのような制度が利用できるのか気になりますよね。そこで今回は、親の介護に直面した時の費用相場や、利用可能な制度をご紹介します。

介護の現状

「介護が必要になるのはもっと先だから大丈夫」と考えてしまいがちですよね。しかし、介護が必要となる瞬間は、思うよりも身近に存在します。そこでまずは、現在の介護の実態についてみていきましょう。

介護者の推移

「厚生労働省」が発行している「介護保険制度の最近の動向について」によると、要介護・要支援の認定者数は平成30年4月時点で644万人となっており、この18年間でおよそ3倍に増加しています。

65~74歳と75歳以上の高齢者で要介護・要支援認定を受ける人の割合を比べた場合、75歳以上になると認定を受ける人の割合が大幅に増えています。人口の減少とともに、2055年には75歳以上の人口が25%を超えると予想されており、要介護・要支援認定を受ける人は年々増加すると考えられています。

介護の開始時期と平均期間

要介護者等の介護が必要となった原因は、多い順に「脳血管障害」「認知症」「高齢による衰弱」です。脳血管障害には脳梗塞や脳卒中といった疾患が含まれており、平成26年の患者調査では患者数は118万人と推測されています。そのなかでも約14%に当たる17万人が、20~64歳の就労世代にあたります。
つまり、社会で元気に働いてる世代であっても、介護が必要になる病気に罹患するケースもあり、介護が始まるのは突然であることがわかります。

また、介護が始まった場合にはどのくらいの期間に渡って介護が必要になるのかも気になるところです。生命保険文化センターが行なった調査では、介護を行なった期間の平均は4年7ヵ月と発表されています。また、調査に応じた人のおよそ14%は10年以上と答えています。介護が長期化するケースも少なくないことを、忘れないでおきましょう。

介護は病状や状態の種類によって大変さが異なる

同じ疾患にかかり介護が必要となっても、処置までにかかった時間や回復の度合いにより、介護の必要度は大きく変わります。要支援1では生活の一部に支援が必要になる一方で、要介護5の認定を受けるとほとんど寝たきりのため、身の回りのことの大半で介助が必要となります。
このように、病状や障がいの状態によって介護の種類や負担度は大きく変化するのです。

 

一般的な介護費用相場

介護を行う際に必要となる費用は、介護度によって異なります。また、在宅介護を選択するか特別老人ホームなどの施設へ入居するかによっても大きく異なります。40歳以上の場合は、条件を満たせば国の運営している介護保険制度を利用できるため、一時的に費用がかかっても給付を受けることが可能です。しかし40歳以下の場合は公的な介護保険が利用できず、実質的に必要となる費用が膨れ上がるといった違いもあります。

在宅介護の際の費用相場

要介護・要支援認定を受けた際には、介護保険を利用することで、サービスの費用の一部を受給することが可能です。しかし費用が後々手元に返ってくる場合であっても、リフォームや福祉機器の購入などで一時的に費用が必要になります。こうした一時的に必要となる費用の平均は、合計69万円とされています。
レンタル用品を利用するとレンタル費がかかりますし、また介護用品には消耗品もあるので、介護を始めた時だけでなく継続的に発生する費用も存在します。月々に必要となる費用の平均は7.8万円とされており、決して安いとは言えません。

施設入居の際の費用相場

施設入居をする際には、介護スタッフが在籍する有料老人ホームや、介護保険施設と呼ばれる公的な施設から選ぶことになります。施設サービスを受ける際には、介護費の他に光熱費など利用者が居住するための費用や、家賃に当たる月々の入居費用が必要です。初期費用がかかる施設もあるため、まとまったお金が必要になります。要介護認定を受けている場合のみ介護保険施設の利用が可能です。

介護保険施設は、要介護高齢者のための生活施設である「特別養護老人ホーム」、要介護高齢者にリハビリを提供し在宅復帰を目指す「介護老人保健施設」、医療的な措置が必要な要介護高齢者の長期療養施設である「介護療養型医療施設」の3種類です。利用者の心身の状況によって入居先が異なります。個室か複数で利用する多床室かの違い、要介護度の違い、入所する施設の違いにもよりますが、月々の相場は自己負担額が10万円以下から20万円近くするところまで様々です。

 

介護費の工面方法

介護を始める時にはまとまったお金が、介護を続けていく際には月々の費用がかかることがわかりました。では、こうした介護費の工面方法にはどのようなものがあるのかご紹介します。

介護保険

介護保険とは現物給付型のサービスであり、サービスを一定割合の費用負担だけで利用することができる制度です。認定された要介護度によって月に支援される上限額が異なり、収入によって自己負担の割合も異なります。

介護保険を利用するためには65歳以上の人が該当する介護保険第1号被保険者、または40~64歳の医療保険に加入している人が該当する介護保険第2号保被保険者である必要があります。また、要介護・要支援認定されていることも、利用条件です。さらに第2号被保険者の場合は、特定疾患で認定されている必要があります。

高額介護サービス費制度

介護保険制度の中には、高額介護サービス費という項目があります。これは介護保険の所得別に設定される月々または年間の自己負担額の合計が一定額を超えた場合に、超えた分の費用が介護保険から支給される制度です。
生活保護を受給している場合、合計所得と公的年金収入額の合計が80万円以下の場合、世帯全員が市区町村民税を課税されていない場合、市区町村民税課税世帯の場合の4段階に分かれており、それぞれで月額の上限が設定されています。

世帯分離

上記にあげた高額介護サービス費制度を利用するという視点から、世帯分離を行い自己負担額を減らす方法もあります。
世帯分離とは住民票の登録世帯を、介護を必要とする人の世帯と介護者の世帯に分けることです。世帯を分けることで世帯年収を減少させ、自己負担額をより少ない区分へと変更させる、“介護の裏技”とも呼ばれる方法です。

所属自治体の融資制度

国の運営する介護保険以外にも、所属自治体が提供する融資制度を利用して一時的に費用を準備する方法もあります。都道府県社会福祉協議会が主体となって実施している生活福祉資金貸付制度もその一つです。

生活福祉資金貸付制度の中に設定されている福祉資金と呼ばれる制度では、介護を必要とする高齢者を抱える世帯に向けて、生活を送るための費用の無利子または低金利貸し付けを行なっています。最大12ヶ月の返済期間を設定でき、無利子で最大10万円の借り入れできる緊急小口資金が設定されています。

介護保険のような国の設定する制度以外にも自治体ごとに利用できる制度があるので、調べてみましょう。

生活保護

生活保護の受給対象となることで、介護費の工面を行うというケースもみられます。生活保護には介護扶助の項目があり、介護保険制度のように原則現物支給で介護サービスを受けることが可能です。

第2号被保険者の場合は、サービスに必要となった費用の10割を介護扶助で賄ってもらうことが可能です。また、第1被保険者の場合でも、自己負担額に該当する1割部分を賄ってもらうことができます。

 

介護費用についての相談先

介護費の工面や準備、制度の利用についての相談先は、1箇所ではありません。地域の窓口は複数準備されていますので、足を運びやすい場所、利用しやすい場所へ相談に行くようにしましょう。

地域包括支援センター

地域包括支援センターとは、市町村が主体となり住民の各種相談を受けて支援を行なっている施設です。施設には保健師・社会福祉士・介護支援専門員(ケアマネージャー)が配置されているので、介護費や介護について3職種からのアプローチを実施できます。

ケアマネジャー

介護保険制度上では「介護支援専門員」と呼ばれるケアマネジャーは、高齢者の介護サービスを中心に扱う専門家です。ケアマネジャーの多くは、居宅介護支援事業所や介護保険施設などで働いており、利用施設先のケアマネジャーに相談するのも一つの手です。

社会福祉協議会

都道府県や各都市に設置されており、福祉サービスの利用者と福祉関係者をつなぐ活動や、制度の改善に取り組んでいる組織です。福祉サービスの利用契約や手続き、日々の金銭的な管理への支援を実施しているので、介護費についての相談もしやすいのではないでしょうか。

福祉事務所

国の定める社会福祉行政機関の一つが、福祉事務所です。全国に1247ヶ所設置されており、自立支援給付・地域生活支援事業を含めた障がいに関する支援を中心に行なっています。

 

介護が必要になる前にしておきたいこと

ここまで介護の現状や介護費の工面方法についてまとめてきましたが、介護が必要になる前にしておきたいことについても触れていきます。突然必要になることも多い介護ですが、介護費問題に直面する前にできることもあります。

親の年金所得・介護費用貯金を確認

内閣府の調査では、介護が必要になった時、貯蓄で介護費を賄うと答えた人と年金等の収入で賄うと答えた人は全体の6割に及びます。また介護を受けたい場所の希望は自宅であると答えた人がもっとも多いです。
そうした背景を踏まえて、親をはじめとした家族の介護が必要になった時のために、年金所得や介護費用の貯金についての情報を共有し確認しておくことが大切な準備の一つとなります。

生命保険の内容を共有

また、加入している生命保険の種類や内容を共有することも大切です。中には介護が必要になった時に一時金を準備してもらえる生命保険もあります。突然必要となる費用だからこそ、利用できる内容があれば事前に共有して、利用手続きにスムーズに移れるようにしましょう。

介護用の貯蓄の有無の確認

そして何より、介護用の貯蓄を行なっているかどうかを聞いておくことも大切です。老後や介護が必要になった時には、全て自分で準備したお金で賄おうと考える人ももちろんいます。一方でそういった不測の事態には、費用からお世話まで全てを任せる予定だと考える人も存在します。
介護に対する意識のすり合わせや、介護が必要になった時のお金の動きについて、あらかじめ話すことも大切だといえるでしょう。

 

制度を賢く利用して介護費の負担を減らそう

介護費の工面方法には、介護保険の利用や自治体の制度の利用など、様々な方法が存在します。知識がないために申請できず利用できないケースや、対象になっていないために利用できないといった場合もあるでしょう。
いつまで続くかわからないという不安がある介護だからこそ、費用面の負担は、制度を利用しつつできるだけ軽減してみてはいかがでしょうか。

 

参照:
平成30年度 公的介護保険制度の現状と今後の役割
脳卒中に関する留意事項
3 高齢者の健康・福祉|平成28年版高齢社会白書(全体版) – 内閣府
介護にはどれくらいの年数・費用がかかる?|公益財団法人 生命保険文化センター
生活福祉資金|全国社会福祉協議会
(リンク2)地域包括支援センターの業務
サービスにかかる利用料 | 介護保険の解説 | 介護事業所・生活関連情報検索「介護サービス情報公表システム」
生活保護法による介護扶助とは – 神奈川県ホームページ
福祉事務所 |厚生労働省
保健福祉局 – 福山市ホームページ
明治安田生命 | 介護のささえ

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