転職したいと伝えた時に妻が考えていることとは?

夫の転職--それは妻にとって希望でもあり、脅威でもある。30歳の夫が「転職したい」と言ったのは、去年の秋。5歳と生後半年の兄弟を抱え、私は唸った。また転職か…夫の場合、2度目である。

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転職必須は明らか

1度目の転職は、長男が1歳半のとき。当時は彼にこの業界は合わないと思ったし、20代だったので割とすんなり賛成した。しかし今回はもう30代、子どもも2人に増え、転職も2度目。さすがにすんなり、というわけにはいかない。

 

それでも彼の様子を見ていれば、転職すべきなのは明らかだった。

 

元の神経質さが増し、終始ピリピリしていて、不機嫌なときが多い。毎朝起きた直後なのに「疲れた」と言い、シャワーを浴びながら「帰りたい!」なんて叫ぶ声が聞こえてくるときもある。

 

飲み会好きだった彼が毎日家に帰ってきて、時々ある飲み会も1次会で即帰宅。いっぽうで家では以前に比べ、明らかに酒量が増えていた。今の仕事が合わなそうだとは、ずっと感じていたのだ。

 

ラクよりやりがい

前職は厳しい営業職だったが、今の業界はラクだといつも言っている。「なぜ転職したいの?」と聞いたら、「やりがいや生きている実感がない」と彼は口にした。

 

そもそも彼は、やりたいことのないタイプだ。やりたいこと、趣味なども特になくて30歳まできた。「やりがいと言われても…」と最初は戸惑った。私はやりたいことが明確にあるタイプ。価値観や性格が真逆の夫婦なので、彼が仕事に何を求めているのが分からなかったのだ。

 

同時に彼は、「今の業界は会社の人とも顧客とも気が合わない」とも言った。たとえば同じクラスにいたら、話さないタイプの人が多いらしい。ここでようやくわかった。元々彼の1番良いところは、人が好きなところ。友達も多く人の中で生きている人で、「何をやるか」より「誰とやるか」がより大事なタイプなのだ。

今後彼が仕事で生きている実感を味わうためには、「人」が大事なことがわかった。

 

大黒柱 VS 夫の人生

そうはいっても、次男もまだ生後半年。転勤族なため、引っ越し代などもかかる。去年車も買い替えてしまったし…経済的には厳しい。「今のまま、やりがいがなくてもラクな仕事で、安定的に…」という希望が私の中に芽生えた。

 

次の瞬間、そう思う自分に嫌気がさした。私自身は「好きで適性のある仕事をするのが1番」と考えていて、今の仕事をしている。それなのに夫には、「好きじゃなくても安定的に」と押し付けようとしたのだ。なんてズルい女だ、と。

 

同時に、これが母親になるということ、家族になったということなのだとも思った。5年前なら、こうは思わなかっただろう。母としては、どうしても「家計や子どものこと」を1番に考えるようになるのだ。

 

とはいえ、その仕事で何十年と働くのは夫だ。彼は一家の大黒柱でもあるけれど、彼の人生でもある。二度とは取り返しはつかない、唯一無二の彼だけの人生なのだ。

 

女房子ども以外の下支え

以前読んだ漫画で、40代の主人公が「女房子どものためだけに仕事なんてやれないよ」と言うセリフがあった。私はこの言葉が好きだ。逆によく耳にする「家族のために仕事をしている」というセリフが嫌い。「誰かのため」は、「誰かのせい」になるからだ。

 

夫とは価値観も性格も真逆だと思ったが、今回の件で共通点が見つかった。好きなこと、向いてることを仕事にしたいということ。転職はこれで最後という意見は夫婦一致で、それからよく話し合って結局彼は転職を決めた。仕事への適性はフィフティフィフティというところだが、彼自身好きな仕事ではあったし、「人」というキーワードにはぴったり当てはまるところだ。

 

もちろん転職して2~3年は、やっぱりキツイだろう。ただそれを下支えしてくれるものが、女房子ども以外にある業界だと思う。希望か脅威かはまだわからないが、今回の話し合いでお互いをまた知れたことも、大きな一つの収穫だった。