答えなくてOK! 子どもが伸びる「これって何?」への返しかた
夫婦のお悩み解決コラム3~5歳くらいの子どもによくある「これって何?」と聞き続ける“質問攻め期”。親としては説明するのに疲れてしまいますが、意外と知らないことを発見する機会にもなりますよね。
カンタンに答えを出してしまうのは、実は子どもにとってあまり良いことではありません。知識だけが増え続け、“自ら答えを考える”想像力が育たないのです。また「何でも親に聞けば答えてくれる」と、調べることもしなくなります。
親としては答えを出すよりも、大切なことがある。実際に5歳の長男との対話も例に、ご紹介します。
逆質問で説明力をつける
子どもが「これって何?」と聞いてきたら、まずは「何だと思う?」と聞き返しましょう。先日はこんな会話をしました。
子ども:「ママ、明日って何?」
ママ:「何だと思う?」
子ども:「今日が3月1日だから、明日は3月2日ってこと」
聞いてくるわりには既に知っていたり、子どもなりに途中まで考えていたりします。それを聞き出すことで、“子どもがどこまで理解しているか”“子どもはどう考えるクセがあるか”を把握できます。
また、子どもが“頭の中の考えを言葉にして説明する力”も身につきます。自分の感情や考えを、うまく言葉にできないのが子どもというもの。言葉を覚えた子どもが次に学ぶべき、“説明力”をつける練習になるのです。
想像力を膨らませる質問を
さらに、想像力を膨らませる質問もします。気になる部分を、ただ質問していきましょう。
ママ:「今日が3月3日だとしても、3月2日はやっぱり明日なの?」
子ども:「昨日になる」
ママ:「今日が何日かで、明日っていうのは変わるんだね」
ママ:「じゃあ、いつ明日になるの? 今は3月1日の夕方だけど、いつからが明日かな?」
子ども:「寝て起きたらかな?」
ママ:「寝て起きたら、もう今日になってるよね。起きたらもう3月2日だから、明日は3月3日になってるんだよ」
子ども:「…よくわからない!」
質問を重ねると子どもも「わからない」となることが多いですが、それで大丈夫。大事なのは“わかる”ことではなく、“いろんな考え方があることを知る”ことです。答えは今すぐわからなくてもいいのです。
最初からわからなければ比較質問を
最初に聞き返したものの、「わからない」と答えられることもあります。本当に分からないときもありますし、「どんな言葉で説明すればいいのかわからない」ことも多いもの。この場合、子どもの知ってるもので比較質問しましょう。たとえば先日はこんな会話をしました。
子ども:「何で保冷剤は冷凍庫から出して置いておくと柔らかくなるの?」
ママ:「氷は冷凍庫から出すとどうなる?」
子ども:「溶けるね。水になる」
ママ:「保冷剤は冷凍庫から出すときどうだった?」
子ども:「固かった」
ママ:「保冷剤も氷も、冷凍庫の中では固くて、外に出して置くと柔らかくなるんだね」
比較する対象は、子どもが知っているものであれば何でも良いでしょう。正解はありません。比較することは、“考える”中でも簡単、かつ重要な技術です。親の比較の仕方を、子どもは学んでいきます。
答えを出すのは子ども
皆さんお気付きのように、親は質問するだけで、答えは出していません。答えを出すのは、子ども自身なのです。答えが出るまでには、ときに数年単位かかることもあります。
もちろん考えてもわからないことも多いですから、「今度水族館に行って見てみようか」「土曜日に図書館で調べよう」 など、調べかたを子どもに教えることも大切です。
(今回の方法は、物の名前を教えるときには適しません。物の名前などは教えてあげましょう)