子どもの本音を探れ! コドモ博士の哲学トーク第4回
「同じことを何度言われてもわからないワケ」
夫婦のお悩み解決コラム子どもの本音を探る親子の哲学トーク。今回は、なぜ子どもに何回同じことを言ってもわかってくれないのか、について。何十回、何百回と同じことを言っても子どもは理解してくれませんよね。親は同じことで怒る自分に嫌気がさしてくるもの…なぜ子どもはすぐに理解してくれないのでしょうか?
トークの主役は、コドモ博士(5歳男児)。実際に筆者の子との対話も入っています。
この記事でご紹介すること
何でも遊びになる子ども
ママ:あーっまたお茶こぼした!! も~自分で拭いてよね!
コドモ博士(以下K):今忙しいから後でね~
ママ:お茶をこぼしちゃいけないって、何回同じことを言ったらわかるの⁉︎
K:あと500回くらいかな。
ママ:そんなに? 1回じゃわからなくても、さすがに5回くらいでわかってよ!
K:だって何でお茶をこぼしちゃいけないのか、わからないもん。
ママ:テーブルも服も濡れるでしょう。忙しい時にタオルで拭くのも、着替えを用意するのも、一苦労なのよ。何回も言ってるじゃない。
K:ママはテーブルが濡れるのが嫌なの? ボクは嫌じゃないよ~別に気にならないなぁ。弟(1歳)なんかこぼれたお茶でバシャバシャ遊ぶでしょ? こぼれた水も、子どもにとってはオモチャだよ。服が濡れるのも気にならないし、テーブルも結局ママがタオルで拭いてくれる。
だから何回言われても、何でお茶をこぼすとママがそんなに怒るのか全く分からないんだ。
ママ:そうか…ママはKに拭かせるべきだったね。そもそも、ママとは価値観が全く違うのね。お茶をこぼすのは“ママ目線では大変なこと”だけど、“K目線では楽しいこと”なのね。子どもは何でも遊びになるのねぇ。
言葉よりも体験
K:ママはいつお茶をこぼしちゃいけないってわかったの?
ママ:(ギクッ!!)実は…ママは子どもの頃「ジュースを必ずこぼす子」って言われてたの。小学生のとき、レストランでオレンジジュースを頼むと必ずこぼしてね…その度に怒られて、お母さんがお店の人に謝っていたのを覚えてるよ。まぁ、それでもまたこぼしちゃうんだけどね!
ママおっちょこちょいだからなぁ。謝るお母さんに悪いとも思わなかったわ…。それに子どもの頃は、飲み物をこぼしても気にならなかったわね。
K:ママはボクよりこぼしてるね!
ママ:そうだね~。あぁ、思い出したよ。1回ね、新しく買ってもらったワンピースを初めて着た時に、ジュースをこぼしたの。それがシミになっちゃって、すごくショックだった。
あと妹のジュースをこぼしちゃって、親には怒られたし、妹にはすごく泣かれるしでさ。「お茶をこぼす」ことよりも、他のことで嫌な思いをしてこぼさなくなったかな。
「本当の理解」って?
K:あぁ、それはボクもわかるよ! 幼稚園の給食のとき、Y君がぶつかってきてボクの牛乳をこぼしたんだ。悲しくて嫌な気持ちになった。そうか、飲み物をこぼされるのは嫌だね。
ママ:そうね。「本当の理解」のためには、一度の言葉より、一度の体験のほうが心に響くのね。そう考えると、経験数の少ない子どもにすぐに理解してっていうのも無理な話ね。
それにその「体験」も、ただ自分で失敗するより、大切なものを傷付けたり、誰かを傷付けてしまったり、誰かに嫌な思いをさせられたり、親以外の誰かにも怒られたり…いろんな経験を重ねることが、理解には必要なのね。
そうするとあと500回というのは…その通りかも!
発見:経験数の少ない子どもが、すぐに理解するのは無理な話。本当の理解には、様々な体験が必要。
提案:最初から「理解しなくて当たり前」と思って向き合ってみては。子どもが失敗するたびに、「今の経験で10%は理解したかな?」「前より気を付けるようになったな」とどれだけ理解したか計っていくのも、視点が変わって怒りがおさまりやすくなるでしょう。
第1回:「朝の着替えを嫌がるのは何で?」
第2回:「何でそんなに歯磨きを嫌がるの?」
第3回:「怒られているときってこんな気持ち」