Google インパクトチャレンジ活動報告会レポート
出産、育児、介護…夫婦が抱える問題を解決に導きたい
夫婦のお悩み解決コラム2016年4月4日、総理大臣公邸でGoogleインパクトチャレンジの活動報告会が行われました。同プログラムはGoogleが主催。「世界をよくするスピードをあげよう」をスローガンに掲げ、テクノロジーの力を使って社会問題の解決に“チャレンジ”する非営利団体を応援するプログラムです。
活動報告会では、受賞団体やファイナリストが活動内容の報告とともに、それぞれが描く世界像を紹介しました。出産や育児、介護など夫婦が一度は悩んでしまう“問題”に取り組む3団体を中心に紹介します。
この記事でご紹介すること
Google インパクトチャレンジとは?
「Googleインパクトチャレンジ」は、Googleが主催するテクノロジーを活用し、社会的問題を解決するアイデア、チャレンジ精神を持つ非営利団体を支援するプログラム。数々のアイデアを一般投票、審査員が厳正に審査。見事に選出されれば最大で5,000万円の助成金が贈られます。
4月4日の活動報告会には、審査員を務めた安倍昭恵氏、MITメディアラボの副所長、石井裕氏も駆けつけ、受賞した4団体とファイナリストとなった6団体がこれまでの活動を「中間発表」や今後のビジョンや意気込みに耳を傾けていました。

MITメディアラボの副所長 石井裕氏
出産:産後ケアを啓蒙しているマドレボニータ
一般投票、審査員から支持され「Woman Will賞」に輝いたNPO法人マドレボニータは“出産”に着目。出産後、女性をケアすることで心と身体の回復を目指し、余裕を持って子育てに取り組めるような活動を行っています。
「児童虐待や離婚率の上昇…社会的にも注目が集まっているこれら問題がなぜ“起きる”のか。出産後、女性を十分にケアしていないことも理由のひとつだと考えました」(吉岡マコ代表)
マドレボニータは、スペイン語で「美しい母」。子どもと向き合う母、働く母、夫と協力する母、女性それぞれが描く「美しい母」像をカタチにしようと、ボディケア教室を全国で開催するほか、企業や行政と協力した協業講座も実施しています。
また、Googleからの助成金で、産前産後を夫婦が協力して“準備”できるアプリ「ファミリースタート」を開発。2016年8月にリリース予定だと報告しました。
育児:「助けて」の声と「助けたい」人を結びつけるノーベル
一般投票で多数の票を集め、「みんなのグランプリ」に輝いたNPO法人ノーベルは、昨今日本でも増加しているシングルマザーに着目。さまざまな事情で、” シングル“になってしまった母親たちが安心して暮らせる社会を目指し、アプリを通して母子家庭支援ネットワークを構築しています。
育児と仕事の両立。自分ひとりの収入で子どもを養っていく。突然子どもが発熱したときに側にいたい。シングルマザーは深刻な悩みを抱えています。しかし、相談できる、助けてくれる存在が側にいない…こうした悩みを解決するために、同法人では「助けたい!」と「助けて欲しい…」をモバイルアプリで結びつけることを目指しています。
「『助けて』の声は母子家庭以外からも聞こえてきます。こうした声に応えられるネットワークを作っていきたいです」(高亜希代表)
今後は、地域の「助けたい!」と考えている人を集めてチームを結成するほか、蓄積したデータの活用、地域団体と協力していくなど、支援ネットワークをより強固にしていくと語り、活動報告を終えました。
介護:笑顔の溢れる街を目指すスマイルクラブ
出産、育児に並び夫婦が直面する「介護」に注目したのが、NPO法人スマイルクラブ。地域に住む高齢者、障がい者たちがどうやったらスマイル(笑顔)になるタウン(街)を作れるかを考え、日々の生活に楽しみを増やす活動をしています。
運動用具、懐かしいレコードを搭載した「モバイルジム車」を作り、柏市周辺で足腰が弱っている高齢者に運動する機会を設けることを目指していると報告。体幹と下半身を鍛えるほか、エアスポーツを通して、転倒を予防するほか、歩いた歩数を“貯金”して生活用品と交換できる健康貯金通帳を配布するなど、様々な取り組みを行っていました。
「ここまで聞いて、ITを使ってないじゃないかって思いますよね? 僕もそう思います」(黒田逸実氏)
そんな一言で会場もスマイルにしていましたが、病院や地域包括センターをクラウドサービスで連動していく。そんな構想を練っているものの、高齢者がウエアラブル機器に馴れていないなど、新たな問題が見つかったことを報告。今後はアイデアを求めながらも、ITにとらわれず高齢者たちがスマイルになれる活動を続けていきたいと報告しました。
そのほかにも社会問題にチャレンジする団体
このほかにも、ホームレス問題、若者の就労支援や投票率向上、社会のバリアフリー化、自殺者防止、性的マイノリティー支援、電動義手を身近にするなど、様々な社会問題を解決に導こうとしている団体が活動を報告。

安倍昭恵氏
最後に安倍昭恵氏や審査員は、「人工知能などテクノロジーに注目が集まっています。だからこそ、人と人が協力し合っていくことが大事だと再認識しました。人が世界をよくするアイデアを出し、ITの力を借りて実現、スピードをあげていきたい」と語り、活動報告会を締めくくりました。