子どもの本音を探れ! コドモ博士の哲学トーク 第9回
子供はどう褒められると嬉しいの?
夫婦のお悩み解決コラム今回は「子どもの褒めかた」について。「子どもを褒めよう」という風潮が強いいっぽうで、「褒めると自信過剰になる」という意見もあります。また褒めかたによっては、子どもにマイナスの影響を与えることも。結局褒めるべきなのか? 褒めるならどう褒めれば良いのか? 一緒に考えてみましょう。
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嬉しくて、安心して、勇気が出る

ママ:自分でできることが増える5歳前後は、「自分が1番」と思う時期よね。
そんなとき「褒める」と調子にのっちゃうのかな。ママはそんなことを考えてしまうけど、褒めると褒めないの、どっちがいいの?

K:ボクは褒められるのが大好きだよ。褒められるとさ、気持ちがいいよね!! 何をしていても楽しくなるし、やる気が出る。それに自分が認められているようで安心するんだ。「ボクは今のボクでいいんだ」って、勇気も湧いてくる。
目的が入れ替わってしまう

ママ:なるほど、褒めること自体は良いことなのね。褒めるのがマイナスに働くときってある?

K:「褒められること」が目的になったときがあったよ。「ママに褒めてもらうため」に良いことをしたんだ。でもその時は褒められなくてガッカリしたな。
あとね、褒められるときってさ、ママも嬉しそうでしょ? ママに笑ってほしくて、「ママを喜ばせるために」褒められることをしたときもあった。

ママ:それはママがイライラしているときにしたんだろうね。でもそれでは、本来の目的を取り違えているわ。「褒められるため」「親を喜ばせるため」に、良いことをするわけではないわよね。
褒めかたは次の行動に繋がる

K:褒めること自体は、とても良いことなんだ。子どもにとって褒められることは、「親に貰える1番のご褒美」なんだよ。自分が嬉しいのはもちろん、大好きなママも喜ぶから、最高なんだ。
重要なのは、「どう褒められるか」。褒めかたで、その後の子どもの行動が変わってくるんだよ。
たとえば、
・「えらい」「すごい」という言葉は、すぐに聞き慣れてしまう。その言葉を聞くために行動するようにもなる(目的が入れ替わる)。
・「ここの色遣いは工夫したね」と努力や変化を具体的に褒められると、自分のことをよく見ていてくれると感じる。小さなことほど、実は嬉しい。次はもっと努力や変化をしようと思う。
・「お手伝いしてくれて助かったわ」と親の気持ちが入ると、人のために努力する喜びを感じる。(ただし時に親の顔色を伺ってするときもある。その際は「子どもに気を使わせていること」に親に気づいて欲しい)
自信はすぐに砕かれる

ママ:褒めかたが大切なのね。「褒めすぎると調子にのっちゃう」のはどうかしら?

K:調子にのってなんかいられないよ! この前も「走るの早いね」って褒められたけど、運動会のかけっこは4人中3番だったでしょ…。お友達のほうが鉄棒は上手だし、パパと将棋をやると負けるし、生きていればイヤでも自分よりすごい人はたくさんいるって感じさせられるよ。
その度に、ものすごくショックなんだ…。それまで家庭内では、ボクは誰よりも可愛がられたし、褒められた。でも園に通いだして、ボクは1番ではないし、大人数の中のたった1人にすぎないと初めて知ったんだ。それはすごい衝撃だった。子どもの自信はすぐに砕かれるし、そもそも自信自体を持ち合わせていないんだよ。

ママ:そうね、「自信のない大人」だって多いのだから、生まれて間もない子どもが自信を持ち続けられるわけはないわね。
自信はね、2つのつけかたがあると思うの。1つは親からたっぷりの愛情を受けていること。これは言語だけでなく、身体的なコミュニケーション(抱っこなど)も含むわ。
そして、経験も必要なの。たしかに園に行けば何十人のお友達がいるし、得意分野はそれぞれ違うわよね。その中でも「あなた自身の得意分野や好きなもの、やりかた」を見つけ、積み重ねていくこと。そうすると「自分を信じる」ことができるようになるわよ。

K:そのためにも、ボクの良さをママに具体的に褒めてほしいな。そしたらボクはその部分を、努力して伸ばしていくよ。
提案:次の行動を考えて褒めてみましょう。