オススメ! めおとブックス! 第5回

性格・性別が変わっても受け入れられる? ひとのどこが愛おしいのか漫画から考える

夫婦のお悩み解決コラム

みなさんは、パートナーのどこが好きですか? 性格? もしくは顔? 男らしさ? 女らしさ?

 

その好きな部分が変わってしまっても好きなままでいられるでしょうか。記憶喪失で性格が変わってしまっても、性別が変わってしまっても、相手を受け入れられるでしょうか。そんなことを考えてしまった漫画が2作あります。

 

『青山月子です!』/湯木のじん(集英社 全3巻)

SONY DSC

 

主人公は高校1年生2回目の青山月子。入学早々、交通事故に遭って記憶喪失になってしまいます。

 

両親や友人たちは「青山月子は友達いっぱいで明るくていい子だった」と言いますが、記憶をなくした今の青山月子はどこか抜けていて、明るく振る舞おうとしても空回り。さらに留年ということで同級生からも浮いています。

 

彼女は人気者だった「青山月子」になろうと頑張ります。「青山月子」になれば、両親や友人たちが喜んでくれる。なによりも強いのは、「『青山月子』にならないと、人に好きになってもらえない」という思い。

 

しかしそう思って「青山月子」になろうとすればするほど、「じゃあ、今の自分は誰なのか」と悩みます。

 

そして変わってしまった娘を受け入れらないのが、母親です。なんで何も思い出してくれないの、月子はこんな子じゃなかった――。

 

母親なら、子どもを温かく受け入れてあげればいいのに…と最初は思います。しかし考えていくと、この母親が冷酷な人間だとは思えなくなります。

 

たとえば、「明るくてよく喋る」という性格に惹かれていた夫や妻が、「無口で物静かな人になった」とき、違和感を抱えたままずっといっしょに生活していくことができるでしょうか。

 

人間、年を取れば考えかたや性格が変わり、どうしても友達付き合いをやめてしまったひとや、距離をとる親戚が出てくると思います。しかし、離れられない家族でそれが急に起きたとしたら。

 

そう思うと、青山月子の母親は普通の人間の姿に映るのです。「母親だから」すべてを受け入れろ、というのはあまりに乱暴です。

 

「青山月子です!」試し読みはこちら

 

そしてもうひとつの漫画。

 

男女の入れ替わり、性格の入れ替わり漫画というのはジャンルとして昔からありますが、「性格はそのままで性別が変わってしまう」という異色の物語が『彼女になる日』。

『彼女になる日』/小椋アカネ(白泉社)

SONY DSC

 

男女の比率を一定に保とうとする世界で、クマノミのように女の数が減ると、男の中から女へと性別が変わるものが出てくる現象が起こります。

 

この現象は「羽化」と呼ばれ、少々気の少年たちに起こるはずが、男の主人公の幼なじみは高校生で「羽化」、女子高生になってしまいます。

 

性格はそのまま、考えかたもそのまま。顔もほぼそのまま。でも、体は男ではなくて女になっている。

 

主人公は女嫌いで、女になってしまった友人との付き合いかたに悩んだり、でも女になった友人をどこかやはり「異性」として見てしまったり…。

 

読み終わったあと、「これは同性愛? BL? でも男女の物語になってる!? 人類愛!?」と混乱した私は、ありえない想像をしてしまいます。

 

「……もし夫が『羽化』して女になったら…?」

 

えー、えー、どうしましょう。

 

受け入れたい! と自信を持って言いたい、けれども。性格はそのままだし受け入れられる気がするけど、でもやっぱ「男だから好き」になった部分もあるだろうし、また女としての性格がまた出てくるかもしれないし…。逆に私が男になっても夫は受け入れてくれるのか…。

 

こんなことを考えられてしまうほど、「羽化」についてしっかり描かれた、現実感のある漫画です。

ひとの、どこが好きで、なにを恋しく、愛しいと思うのか。

自分の家族や恋愛をする相手への捉えかた、そして自分の性について、いろいろな価値観についても考えさせられた2作です。

 

この記事をSNSでシェア