親子は自分の原点、「親子の日」を自分に自信を持つきっかけにして欲しい

映画監督の大林宣彦親子、美術家の横尾忠則親子など、多くの著名人親子をはじめ、これまでに約6000組もの親子を撮影してきた写真家のブルース・オズボーンさん。

 

2003年に「親子の日」を提唱して以来、毎年7月の第4日曜日に100組の親子写真を撮るフォトセッションを開催しています。今年で14回目となる親子の日を前に、長年ファインダー越しに親子を見つめてきたブルースさん佳子さん夫婦に「親子の日」をはじめたきっかけや「親子の日」に込められた想いを伺いました。

 

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「親になるってどんなこと?」素朴なギモンから始まった親子撮影

オズボーンさんは写真を学び、アメリカや日本で写真家として活動。親子の日のきっかけになったのは、1982年に友人からパンクバンドの若者を撮影してほしいと頼まれたこと。撮影したのは、あの有名なパンクロックバンド「アナーキー」の元ボーカル、仲野茂さんでした。

 

「ちょうど第一子が生まれる直前で、2人でよく『親になるってどんなことなのかな?』という話をしていた頃でした。仲野さんを撮影するとき、パンクロッカーのお母さんってどんなかたなんだろうと思って、ダメ元で『親子の写真を撮らせて』ってお願いしたらあっさりOKをもらえたんです」(佳子さん)

 

実は、お母さんは茂さんの一番のファン。撮影してみて、とても仲の良い親子だということがわかりました。この1枚の写真が親子というテーマで写真を撮り続けるきっかけになったそうです。

仲野茂さんとお母さん

仲野茂さんとお母さん

写真撮影が親子の絆を取り戻すきっかけに

最初の頃、オズボーンさんは、親子から日本社会を切り取りたいと考えていました。寿司屋のお父さんと同じく寿司屋になった息子さん、真面目な仕事をしていたお父さんの娘さんがポルノ女優になっている。親子関係から親子の歴史、日本の時代が移り変わっていく様を表現したいと考えていたそうです。

 

でも、どの親子もユニーク。切っても切り離せない「親子」という関係自体に関心が向くようになったと言います。2015年にオリンパスギャラリーで開催した親子写真展覧会には、美智子皇后陛下も来場され、「日本人は表情が乏しいと言われているけれど、みんな生き生きとした表情をしていますね」というお言葉をかけられたそうです。

 

「大人になれば親子で一緒に何かするという機会はなかなかありません。カメラの前に立たされると、みんなどうしていいか戸惑います。こちらからポーズを指示せず、自分たちで話合って決めてもらいます。大人が二人、『どうしよう』って表情で照れている様子も、その親子らしさが現れています。何千組もの親子を撮ってきたけれど、それぞれ個性があって毎回発見があるんです」(ブルースさん)

 

オズボーンさんが撮る親子は年齢も職業も様々。活動を始めてから34年、最初は身体の大きな力士のお父さんと小さい子どもだったのに、2回目の撮影ではお父さんと同じぐらい力強い力士になっている。そんな息子と一緒に誇らしげな表情で写真に写っているお父さん。

 

3回目に撮影したときは、息子さんも引退して、お父さんと一緒にちゃんこ鍋屋さんをやっていました。こうした親子関係の変化が11枚の写真から見えてくるのが面白い、とブルースさんは語ります。

 

「親子写真を撮ってもらいたいという人の動機は様々です。離婚が原因で長い間疎遠になっていた親子の距離を縮めたこともありました。決して仲が悪かったわけではないけれど、撮影がきっかけで自然に会話できるようになったという親子もいます」(ブルースさん)

 

「親子でもうまくいかないのは当たり前。修復しようと頑張ってもなかなか距離が縮まらない。でも親子って本当に些細なことでも仲直りできてしまうんです。写真はきっかけに過ぎないけれど、親子のコミュニケーション手段として役に立っているんだなって感じることも多いです」(佳子さん)

オズボーン家の親子写真

オズボーン家の親子写真

父の日母の日があるなら親子の日があってもいいよね」

オズボーンさんの親子写真に世間の注目が集まるようになると、オズボーンさんと佳子さん夫妻は「もっとみんなが親子関係を見直す機会をつくりたい」と考え、「親子の日」のアイデアを思いつきます。

 

5月の第2日曜日は母の日、6月の第3日曜日は父の日。7月の第4日曜日は『親子の日』にしよう! その日に親子撮影会をするという告知を新聞に掲載してもらったら、たくさん応募がきて100組の親子が集まったんです。こんなに反響があるなら来年も100組撮影しようということになって今日まで続いています」(佳子さん)

 

1年目は自分たちだけの力で開催したので大変でした。でも、2年目からはスポンサーがついて、2005年には日本記念日協会さんが「親子の日」を正式に記念日として認定してくれました。

 

「アイデアを思いついて実行に移すまで2年かかりました。でも、ひとつアクションを起こしたことで、私たちが何をやりたいのか、何をやろうとしているのか伝えることができたのが大きな成果でした」(ブルースさん)

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親子というベーシックな関係を見直すことが世界平和につながっていく

ロサンゼルスで友人を介して出会ったオズボーンさんと佳子さん。誰よりも多くの親子に出会ってきたお二人は「親子の日」に様々な想いを込めてこのビッグプロジェクトを推進しています。

 

「共働きの親が増え、みんなケイタイばかり見ている。そんな変化に注目してしまうけど、命を次の世代に受け継ぐ、本質的な親と子の関係は時代や環境が違っても変わっていないと感じています。家族じゃなくて親子というテーマを選んだのは、親子が家族や社会のベースとなる最も基本的な関係だからです」(ブルースさん)

 

「世の中には幸せな親子関係だけではありません。みんな自分の親から平等に命を授かっています。親子は自分の原点、親子の関係を見つめ直すことで、自分の存在に自信をもって誰もが生まれてきてよかったって思える社会になってほしい。親子関係を大切にすれば、大きな問題も解決できるのではないでしょうか」(佳子さん)

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現在も変わらず仲睦まじい様子のオズボーンさんと佳子さん。夫婦円満の秘訣は「大きな問題になる前に相手に伝えること」だそう。

 

親子は一番近いからこそ素直になれないことや、ぶつかり合うことも多い難しい関係です。親子関係がうまくいっている人もうまくいっていない人も、今年の親子に日は自分の親や子どもと向き合う時間をつくってみてはいかがでしょうか。

 

7月23日に新宿オリンパスプラザ東京で13:00~「第10 回親子大賞授賞式」を開催。平原まこと、綾香親子やウルトラセブン、ゼロ親子もかけつけます。24日は「親子の日スーパーフォトセッション」も開催、たくさんの応募の中から100組の親子の写真をブルースさんが撮影します。

 

親子の日普及推進委員会

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ブルース・オズボーンProfile

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Art Center College of Designでコマーシャル写真を専攻。1980年の写真展「LA Fantasies」をきっかけに日本での活動を本格的に開始。1982年から「親子写真」の撮影を始め、撮影した親子の数は6000組を数える。2003年に「親子の日」を提唱。毎年、親子の日に約100組の親子写真を撮る取り組みを続けている。